研究課題/領域番号 |
23560554
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
富山 潤 琉球大学, 工学部, 准教授 (20325830)
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研究分担者 |
新城 竜一 琉球大学, 理学部, 教授 (30244289)
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キーワード | アルカリ骨材反応 / 遅延膨張性 / 海砂 / フライアッシュ / 抑制効果 / 岩石学的評価 |
研究概要 |
平成23年度に実施したペシマム混合率およびその付近の反応性骨材と非反応性骨材の混合率に対して沖縄産フライアッシュのASR抑制効果の確認を促進膨張試験(カナダ法,デンマーク法)により行った.フライアッシュ(FA)はフライアッシュセメントB種を想定して,セメント置換率16%とした.また,平成23年度に実施した反応性骨材と非反応性骨材の混合率の異なる11ケースの試験のうち最も膨張した試験体に対して岩石学的検討を行った.以下に得られた主な結果を示す.この結果より遅延膨張性ASRに対する沖縄産FAの効果が確認できた. (1)デンマーク法の実験結果より,浸漬期間91日目におけるFA無混和のデンマーク法結果は,#1,で不明確と判断される膨張率を示し,#5,#7では「膨張性なし」と判断された.しかし,判定基準をこえて計測を続けた結果,FA混和の試験体は促進期間とともに膨張し,#5においては判定基準を超えた膨張率の値(154日)は,1.75を示し,「不明確」と判断されるまで膨張した.浸漬期間91日目におけるFA混和した試験体の結果は,いずれの実験ケースにおいても有害な膨張は認められない. (2)カナダ法の実験結果より,浸漬期間14日目におけるFA混和した試験体の結果は,いずれの実験ケースにおいても有害な膨張は認められなかった.また,その後の試験期間においても有害な膨張は見られなかった.浸漬期間14日目におけるFA無混和の試験体の結果は,#1,#5で膨張率0.1%の「無害」を超えて,0.1~0.2%の「有害と無害な骨材が含まれる」と判定できる.上記以外の実験ケースは,14日目の値において,膨張率0.1%を下回っているので,「無害」と判定できる.しかし,判定基準をこえて計測を続けた結果,#1(海砂:砕砂=100:0),#5(海砂:砕砂=60:40)は,「潜在的に有害」と判定できる膨張率を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目的は,「ペシマム混合率に対する沖縄県産フライアッシュのASR抑制効果の検討を行う」であった.その目的に対して,1)ペシマム混合率に対するフライアッシュの抑制効果を確認するための促進膨張試験(カナダ法,デンマーク法)を実施した.また,2)平成23年度に実施した促進膨張試験の膨張した試験体に対して岩石学的評価を実施した.以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると評価できる.しかし,予算等の都合で岩石学的評価に対しては,偏光顕微鏡観察を中心に行い,SEM-EDS分析は省略した.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の目的は,「JISに代わる新しい試験法を提案する」ことである.提案する試験法は,沖縄の塩害環境を考慮にいれ,NaCl溶液(温度50℃程度)を用いた乾湿繰返し試験である.試験装置は,平成23年度に作成し,現在試験の詳細を検討中である.今後の方針としては,乾湿繰返し試験の繰返しサイクルの検討,溶液の温度の検討,判定基準の検討,NaCl溶液濃度の検討などをパラメータに試験を行う予定である.また,計画で予定していた試験後の岩石学的評価は,すべての試験が終わってからの実施になると予想されるため,また,平成24年度に実施した岩石学的評価によりすでに海砂が原因で膨張挙動を示すことが確認できていることから,今年度は岩石学的評価を実施しない予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,促進膨張試験として提案する乾湿繰返し試験の消耗品代が主となる.また,研究補助としての学生への謝金も予算化する.以下に主な使用計画を示す. 1)ゲージプラグ,ステンレスバンド,水中ボンド,原塩(膨張試験の消耗品),その他:全体の50%を支出予定 2)研究補助費:全体の20%を支出予定 3)研究発表出張旅費:全体の30%を支出予定
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