研究課題/領域番号 |
23560555
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
梅村 靖弘 日本大学, 理工学部, 教授 (70246825)
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研究分担者 |
小泉 公志郎 日本大学, 理工学部, 講師 (10312042)
佐藤 正己 日本大学, 理工学部, 助手 (50580164)
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キーワード | コンクリート / セメント / 混和材 / シリカフューム / ポゾラン反応 / ケイ酸カルシウム水和物 / ケイ酸構造 / 水酸化カルシウム |
研究概要 |
今年度は,シリカフューム(SF)とセメントの水和反応に(I)シリカフュームの品質,(II)水結合材比,(III)加熱養生履歴が与える影響について検討した。結果は以下の通りである。 (I)シリカフーム(SF)の品質指標であるSiO2量,比表面積(BET値),湿分量が異なるSFを使用したW/B=22%のセメント硬化体についてSiO2量,BET値,湿分量が圧縮強度と水和物に与える影響についてSFおよびセメント鉱物の反応率の観点から検討した。その結果,圧縮強度はSiO2量,BET値の影響が殆ど無く,湿分量の影響が認められた。SFの反応率は,SiO2量90%未満でBET値の高いSFが増加し,90%以上でBET値の影響が少なかった。C2Sの反応率は,SFのSiO2量が90%以上の場合に初期材齢の反応率が高くなった。 (II)水結合材比(W/B)が水和反応およびケイ酸構造へ与える影響について圧縮強度,XRD/リートベルト法による水和反応解析,SFの反応率,トリメチルシリル(TMS)誘導体化法によるC-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の観点から検討した。その結果,W/B=15%配合の水和反応は,W/B=30%,W/B=22%配合と比較してSFおよびセメントの水和反応,C-S-Hの生成,C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長が減少することを確認した。 (III)熱養生履歴がシリカフューム(SF)を添加したセメント硬化体において,水和反応およびケイ酸構造へ与える影響について圧縮強度,(XRD)/リートベルト法による水和反応解析,SFの反応率,TMS誘導体化法によるC-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の観点から考察した。W/B=15%配合の水和反応は,最高温度90℃養生を行った場合,SFおよびセメントの水和反応が材齢91日の20℃封緘養生と比較して促進し,C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長が減少する事を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,昨年度の研究の内,フライアッシュとセメントとの水和で生成したC-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の分析を継続実施し完了した。今年度申請した研究内容は、シリカフュームのセメントとの水和反応とセメントの水和反応およびシリカフュームのポゾラン反応から生成されるケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)の構造変化を明らかにすることである。具体的には,セメントとSFの水和反応に与えるシリカフュームの品質,水結合材比,プレキャストコンクリートへの適用も考慮した加熱養生履歴が与える影響について検討した。当初計画した実験は終了することができ,概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,フライアッシュペースト,シリカフュームペーストの圧縮試験,収縮試験からC-S-Hの構造変化と強度発現特性,収縮特性との関係を検討する。 実験は以下の(I)~(III)であり,研究統括は,研究代表者の梅村靖弘が担当する。圧縮強度,自己収縮試験,水和反応解析,細孔構造分析は研究代表者の梅村靖弘,研究分担者の佐藤正己が担当,C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の分析は,研究分担者の小泉公志郎が担当する。 (I)セメント水比ならびに養生条件を変化させたセメントペーストまたはモルタルによる圧縮強度,自己収縮試験,水和反応解析,C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の分析,細孔構造分析を行う。 (II)結合材水比ならびに養生条件を変化させたフライアッシュセメントペーストまたはモルタルによる圧縮強度,自己収縮試験,水和反応解析,C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の分析,細孔構造分析を行う。 (III)結合材水比ならびに養生条件を変化させたシリカフュームセメントペーストまたはモルタルによる圧縮強度,自己収縮試験,水和反応解析,C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の分析,細孔構造分析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.実験費用として,①自己収縮量を測定するための埋込みひずみゲージ200,000円,②C-S-Hのシロキシサン鎖の鎖長分布の分析におけるTMS誘導体化法に必要な薬品150,000円,③水銀圧入式ポロシメータ用ディラトメータ(3個)150,000円,④ガラス器具100,000円を計上する。 2.研究成果発表に伴う旅費として,①国内発表(コンクリート工学年次大会,名古屋) 100,000円 以上,直接経費 合計700,000円,間接経費 合計210,000円 を計上する。
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