研究課題/領域番号 |
23560561
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 準治 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00594087)
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研究分担者 |
京谷 孝史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00186347)
寺田 賢二郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40282678)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マルチスケール解析 / トポロジー最適化 / 均質化法 / 材料非線形 |
研究概要 |
繊維強化プラスチックをはじめとする複合材料は,軽量かつ高強度という優れた性質をもち,防災,維持補修の上でも今や必要不可欠な建設材料である.一方,これらの複合材料は,その強度の高さ故に脆性的な破壊挙動を示すという問題を有し,さらにミクロレベルにおける材料挙動がマクロ構造の破壊挙動に大きく影響するという複雑なメカニズムを呈することから,マクロな構造挙動を制御するのは困難である.そこで,本研究では,数理的アプローチのひとつである構造最適化手法を用い,脆性破壊を起こす複合材料の靱性を向上させる手法の確立を目的とする.これらの条件から,本研究では材料の非線形特性を考慮した解析に加え,異なるスケール間の構造問題を解く,マルチスケール解析法の導入が必要であり,さらにそれに対して最適化を実施するという,極めて数値計算量が大きくなることが問題となる.これより,数値計算量を極力小さく抑えることが可能な手法を開発する必要がある. (1) ハイスペック数値計算機の導入およびその環境設定 (2) 数値計算量を縮小できるマルチスケール解析法の導入とプログラム実装 (3) 上記(2)のマルチスケール解析を適用したミクロ構造トポロジー最適化手法の開発 (4) 材料非線形(損傷モデル)を用いた最適化手法の開発上記(2)については,分離型マルチスケール解析手法と呼ばれるもので共同研究者である寺田によって提案されたものであり,材料非線形問題への拡張を期待して適用したものである.(3)は,現段階では線形弾性体を想定したものではあるが,期待したどおりの力学的に理にかなったミクロ構造のトポロジーを得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記に示した当該年度の成果(2),(3)については,研究実施計画では次年度に行う予定の項目であったが,これらは当該年度に前倒しで実施し,目的を達成することができた.これは,当該年度にハイスペック計算機を導入することができたことで,実装したプログラムの検証を早期に実施することができたためである.この(2),(3)については本研究の中核をなす部分であり,早期に完成させたことは当該年度の大きな成果と考えている.一方で,(4)については,以前より個別に研究を進めていたこともあり,それに関する文献もいくつか発表した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当該年度の成果であるマルチスケールトポロジー最適化法を材料非線形問題へ拡張することである.当初の予定よりも進んでいることもあり,今後は従来の一般的な非線形材料モデルのみならず,幾何学的非線形特性を考慮したモデルにも挑戦する.ここでは,高精度の数値計算ができるような感度解析法の提案も合わせて実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は,研究の効率化(計算速度の向上)を図るために,当該年度から許可された前倒し請求制度を利用してハイスペック計算機を購入した.次年度はこの計画変更にしたがって,本研究に必要な経費を適切に使用する.なお,取り扱うデータサイズ自体が増大しているため,それに充分に適応できるスペックのポスト処理機を導入する必要性も生じており,経費の範囲の中で極力研究の効率化を図りながら遂行する予定である. なお,H23年度の研究費支出状況については次年度使用額として6,254円が計上されているが,これはH23年度にすべて使いきっているため次年度使用額にあたらない.これは,支出状況の調査が支出締切り日前に実施されたためであり,その時点では6,254円が残っていたものである.これについては当大学の事務に確認済みである.
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