本年度の研究成果として、1)杭基礎の鉛直方向に関するインピーダンス特性の把握、2)非線形性を考慮したGyro-Lumped Parameter Model(以下、GLPM)の拡張モデルの開発を実施した。 1)に関しては、先行して実施した水平方向のインピーダンス特性の実験評価に続く検討として、本研究で構築した鋼製鉛直フレームに鉛直方向にアクチュエータ(10kN)を固定して杭頭インピーダンス特性の実験的評価を行った。本実験により、加振振幅の増加に伴い杭周辺には地盤の局所的な非線形性(主に周面すべり)が生じる一方で、鉛直インピーダンスは増加する傾向が加振振動数の広い範囲で確認された。この特性はこれまで検討した水平インピーダンスとは大きく異なる特性である。その理由として、杭頭押し込み側での杭先端支持力の増加が起因しているものと推察される。加えて、静的試験による荷重-変位関係からは、押し込み側と引き抜き側での著しい特性の違いが確認できた。特に、引き抜き側に対して押し込み側では剛性(割線剛性)が2倍から4倍程度の違いが現れる結果となった。 2)については、線形GLPMに多段式のマルチ摩擦モデルを与えることで、地盤ばねとしての有効抵抗土圧を考慮できる非線形GLPMモデルを考案した。平成23年度からの非線形性を考慮した杭間相互作用係数のモデル化、ならびに群杭基礎のインピーダンス特性のSuperposition法の開発と検証により、地盤の非線形性を考慮した応答予測のための要素技術が構築できた。これらは今後、それらの要素技術を統合した応答予測手法を確立する上で極めて重要な成果と言える。
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