本研究課題は,引張・付着クリープを考慮した収縮ひび割れ予測手法の構築,および鋼-コンクリート複合構造接合部の変形特性の構造挙動への影響度評価を目的としており,大きく分けて(1)引張・付着クリープを考慮したRC部材の収縮ひび割れ予測手法の構築とクリープを考慮した地中RC構造物の設計合理化,(2)鋼-コンクリート複合構造接合部のクリープ挙動の解明と構造特性への影響評価,に関する研究を行うものである。 平成25年度は,主として頭付きスタッドを対象として,コンクリートのクリープ変形に伴うずれ止めの時間依存性変形挙動について,実験的および解析的な検証を行い,それが全体挙動に与える影響の評価を行った。 研究期間全体を通して,コンクリートのクリープ挙動をベースとして,引張クリープ特性自体の解明,圧縮クリープも含めたコンクリートのクリープ挙動が地中ボックスカルバートの作用土圧変化に与える影響の定量的評価と部材厚や鉄筋量削減可能性の検討,鋼-コンクリート複合構造接合部を対象として,ずれ止めのせん断力-ずれ変位関係に及ぼす持続荷重の影響の定量的評価を行った。これに基づき,ずれ止めのより効果的な設計あるいは配置数削減などの設計合理化に対する見通しを得た。 しかしながら,接合部を有する鋼-コンクリート複合構造物の全体的な構造挙動に及ぼす影響については十分な検討が実施できておらず,接合部内のある限定された領域を対象とした検討にとどまっている。今後は接合部の時間依存挙動が構造物全体挙動に与える影響の評価が課題である。
|