研究課題/領域番号 |
23560565
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
斉藤 成彦 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (00324179)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 物質移動解析 / 材料劣化 / コンクリート構造物 / 剛体バネモデル / 数値解析 |
研究概要 |
現在,材料劣化の生じた既設コンクリート構造物が現有する構造性能の評価では,点検より得た外観変状に基づき性能をグレード分けする半定量的手法を用いているのが現状であるが,構造物の長寿命化が要求される中で,残存する構造性能を定量的に把握する手法の開発が必須となっている.非線形構造解析手法は,有用な性能評価手法として期待されているが,供用中の既設構造物における点検より得られる情報は限定的であり,劣化状況のモデル化が困難な状況である.本研究は,塩分や二酸化炭素といった劣化因子のコンクリート中の物質移動解析によって点検結果を補間し,構造性能を定量的に把握するための構造解析手法を開発することを目的とする. 平成23年度は,材料劣化の生じたコンクリート構造物の劣化変状を推定するための物質移動解析手法の開発を行った.これまでの研究により,コンクリート中の水分と塩分の移動を拡散現象として扱った物質移動解析プログラムを開発してきており,新たに二酸化炭素の移動に伴う炭酸化反応モデルを導入することにより,塩害と中性化による鉄筋の腐食発生を予測することを試みた.本研究では,申請者らが開発してきた離散型の解析手法を用いることにより,ひび割れによる初期欠陥等が腐食の発生状況に及ぼす影響についても検討を行うことが可能であり,物質移動解析を通して材料の劣化過程とばらつきの関係について基礎的な情報を入手することが可能である.本研究ではコンクリート構造物を対象としているが,近年では特にプレストレストコンクリート構造物の劣化が顕在化し,その性能評価が問題となっている.そこで,本研究手法をプレストレストコンクリート構造物にも適用すべく,まず鋼材腐食の生じたプレストレストコンクリート部材の基本的な耐荷性状を把握するため,電食により鋼材を腐食させたポストテンション方式のPC部材実験を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実施計画にあった二酸化炭素の移動に伴う炭酸化反応モデルを導入することができた.塩分の固定化と炭酸化の相互作用についても現在導入に取り組んでおり,研究は当初の計画通り進展している.
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今後の研究の推進方策 |
物質移動解析の構築はほぼ予定通り進行しているので,今後,鋼材の腐食速度モデルの構築を行うことで,構造部材の性能評価へ繋げていく予定である.また,近年問題が深刻化しているプレストコンクリート部材についても扱っていきたいと考えており,劣化したPC部材の基本的な耐荷特性についても実験により確認することとする.
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次年度の研究費の使用計画 |
鋼材の腐食モデルの構築に必要な電食によるRC試験体の腐食実験を行うために、実験材料および測定用消耗品を購入する予定である。また、物質移動解析を実施するための、最新のパソコンを1台購入する予定である。
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