研究課題/領域番号 |
23560567
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩谷 智基 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (40443642)
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キーワード | Acoustic Emission / Tomography / Damage diagnosis / AE Tomography / Maintenance / Infrastructure / Asset monitoring |
研究概要 |
これまで研究開発した2次元AEトモグラフィ手法を室内での基礎実験および,野外での実構造物に適用しその有用性を既存の手法と比較して検討した.具体的には,凝灰岩の三軸試験および,高速鉄道高架橋のコンクリート床版にて検証を実施した. その結果,前者では:岩石の破壊過程で得られるAE震源を利用してトモグラフィ解析が可能となり,試験後期で得られたAE震源のAEトモグラフィ解析より試験後期までに得られたAE震源(破壊部分)が評価できた.さらに,破壊試験後に実施した目視観察より,AEトモグラフィ解析で得られた破壊部分と目視観察された破壊領域性状に良好な合致が確認できた. 後者では:鉄道振動を利用した損傷部からの二次AEの励起が可能であることがわかった.また,直接的な外乱ノイズと二次AEの識別がAE卓越周波数を利用することで可能であり,抽出された二次AEを利用してAEトモグラフィ解析を実施することで既往の方法より得られる損傷域が評価できることが明らかとなった.さらに一部既往の方法では特定できなかった損傷部分もAEトモグラフィを用いることで特定できることがわかった. さらに,本年度は本手法に関わる国内外への成果発表を実施した.特に,ICAE7(スペイン,グラナダ)での招待講演にて本手法を世界の研究者に紹介したところ,多くの共同研究の申し入れがあった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では平成25年度から積極的な情報発信を進める予定であったが,既に国内外の研究者が集い研究会「インフラアセットモニタリング研究会」が発足できた.また,賛同する研究者や機関には本研究成果であるAEトモグラフィプログラムの使用(共同研究として)を許可し,様々な材料,構造物で手法の検証を実施しているところである.
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今後の研究の推進方策 |
得られた成果の国内外への発信を強化し,企画案などの策定を進める予定である. 具体的には,AE標準化委員会(日本非破壊検査協会),米国AE学会,RILEMのRC-MCM委員会などを通じて本手法を最先端手法としてState of the art reportなどに盛り込む.また,AEトモグラフィプログラムを国内外の賛同者・機関に公開し,手法の有用性を様々な材料,構造物で検証していく.さらに,三次元プログラムへの拡張性のFSならびに,弾性波パラメータによる損傷指標(例えば減衰に関わるパラメータなど)の本プログラムへの導入を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品:データ保存ハードディスクなど(10万円),成果発表可搬型PC(20万円) 国内外出張旅費:シンポジウム,国際会議など(50万円) その他:10万円 を予定している.
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