本研究では、次世代橋梁維持管理のための「知の流通基盤」を構築する。具体的には、Web(World Wide Web)技術やセキュリティなど情報通信技術を駆使した「共創の場」をインターネット上に構築し、道路交通網の持続的な発展を支える産官学民からなる集合知(Wisdom of Crowds)を創りだすクラウドソーシング(Crowdsourcing)の実現を目指す。ここで、集合知とは、多数の個人(組織)が参加することによって形成される知識を意味する。また、クラウドソーシングとは、個々人(組織)が有するデータや経験を、インターネット上で流通させ、多数の人々からの新たなデータ・情報・知を調達、集約、さらに共創することである。平成23年度および平成24年度の研究成果により、維持管理に関するデータ・情報を蓄積し、流通させるシステム開発は完成したことから、平成25年度は、特に、蓄積されたデータ・情報の活用に関する研究を大きく2つ実施した。1つは、橋梁点検にて蓄積されたひび割れ撮影画像データを活用し、デジタル画像から、ひび割れのみを抽出するためのソフトウェア開発の核となる画像処理アルゴリズム最適化に関する知識を抽出する研究を行った。2つ目は、研究対象範囲を橋梁維持管理から他の施設維持管理へ拡張し、トンネル照明設備の点検結果を蓄積したデータベースからの照明設備の健全度予測に関する研究を行った。
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