研究課題/領域番号 |
23560570
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
山口 栄輝 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90200609)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 端横桁 / 鋼鈑桁橋 / 孔 |
研究概要 |
橋梁の有限要素解析は,3次元でモデル化するのが理想であるが,解析に要する時間が膨大となる.特に,非線形解析を行うのは非常に困難である.そこで,端横桁単体モデルの構築をまず検討した.その妥当性を検証するために,全橋モデルも作成した. 検討対象は,4主桁を有する単純鋼鈑桁橋とした.外力は,死荷重,地震荷重とした.端横桁単体モデルには,現行の実務設計で用いられる載荷法を適用した.全橋モデルには,実際の物理現象に即して載荷した.両者の線形解析結果を比較すると,地震荷重下では概ね一致するものの,死荷重下では,全橋モデルに比して端横桁単体モデルに発生する応力は非常に小さくなった. これは,端横桁が負担する死荷重が設計では過小評価されていることを意味する.そこで,主桁が負担する死荷重を,主桁と支点上補剛材の交線に載荷した.載荷方法としては,軸力分布が三角形となるよう,鉛直方向に等分布載荷した.その結果,死荷重下の応力分布は大きく改善された.なお,端横桁単体モデルには,荷重集中点の補剛材の項を参考に,主桁の一部も取り込んでいる.妥当性が確認されたので,本研究ではこの端横桁単体モデルで検討を進めることとした. 端横桁単体モデルのウェブに長方形の孔を設け,解析を行った.孔の位置は9パターンとし,荷重は常時,風時,地震時とした.常時のT荷重には,せん断力,曲げモーメントのそれぞれが最大となる2つの載荷パターンを考慮した.得られた結果は,次の通りである:(1)常時では,上方に孔がある場合,直上にT荷重が乗ると,孔の上辺に沿って大きな引張応力が発生する.また,孔の側辺に沿って,大きな圧縮応力が発生する傾向が認められる;(2)風時には,孔が風荷重作用位置近くにあると,孔の上下辺に沿って,大きな圧縮応力の発生が認められる;(3)地震時では,孔が支点近くにある場合,大きな圧縮応力が発生する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
端横桁単体モデルを構築でき,ウェブに設けた孔の影響を検討することができた.
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今後の研究の推進方策 |
レベル2の地震荷重を作用させ,端横桁に孔を設けた場合の影響を検討していく予定である.荷重が大きくなるため,材料非線形性,幾何的非線形性の両方を考慮した複合非線形解析を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた橋梁解析装置購入,資料収集,データ整理を次年度に延期したため,未使用額が生じた.次年度は,レベル2地震を想定し,その荷重下での変形挙動を検討する.そのために必要な解析ソフト,解析装置,データ処理関連の経費などに研究費を使用する予定である
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