研究課題/領域番号 |
23560578
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
新津 靖 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (70143659)
|
キーワード | 橋梁 / 変位計測 / モニタリング / 画像処理 / 画像相関 |
研究概要 |
本研究は,橋梁に代表される実大構造物の変形モニタリングの可能性を追求することにあり,具体的には,そのための機器,計測手法および解析コードの開発を行い,さらに実大の橋梁の計測およびモニタリングを実施する.得られた測定結果は基礎データとしてデータベース化し橋梁の強度計算や劣化診断を必要とする技術者・研究者に提供することを目的とする.平成24年度は,23年度の研究にひき続き,橋梁に代表される剛構造建造物の風や地震などによる変形をモニタリングするために以下の3項目の開発と実験研究を行った. (1) パターン認識による高精度・高分解能変位計測法の開発(平成23~24年度):本計測法の開発とそのソフトウエア開発は平成23度中に動作するものを開発し,24年度は改良を進めた.現在GPUを使用した高速画像相関処理の実現を目指して開発を進めている. (2) 実物構造物(鉄橋)の高精度疑似3次元変位計測(平成23~24年度):(1)および下記(3)で開発したソフトウエアを使い,バッテリ駆動で動作できる短時間(3時間程度)のモニタリングを実施した.対象は竣工後40年を経過した利根川にかかる栄橋(印西市-利根町間道路橋)である.重量物の通過に伴う変位を計測できることを確認した. (3) 高速度カメラ画像のリアルタイム変位計測(平成23~25年度):(1)のリアルタイム画像変位計測のプログラム開発は,高速処理を可能にするGPUのプログラム開発環境を構築し試験プログラムを開発した段階である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プログラム開発,装置の準備は順調に進展している.実構造物の計測実績はやや遅れているが,現在,利根川にかかる栄橋(築40年経過)を測定対象に選び,バッテリーで駆動できる短時間のモニタリングを行った.当初は数箇所の橋梁についての計測と1~2時間程度の連続計測は行う予定であったが、現在は栄橋に絞っている.20km程度の範囲で測定対象を探している段階である。また,電源確保の問題があり,連続計測は困難なことがわかった.研究発表については,国際会議での発表を2件,国内講演会での発表を4件行った.
|
今後の研究の推進方策 |
計測手法とプログラム開発については順調に進展しており,予定通り引き続き開発を進めていく.実構造物(橋梁)の計測は鉄道橋を測定対象として追加する予定である.さらに関東圏にある大型の橋の計測も試みる予定である.研究計画書の「(1)パターン認識による高精度・高分解能変位計測法の開発」はほぼ完成しており,次年度からは下記の3項目を推進していく.次年度に項目(3)を実現する計画でプログラム開発を進めている.計測実験は次年度に短時間のモニタリングを実施し,電源の問題が解決ししだい,長期のモニタリングの準備を進めていく.困難な問題としては,長期のモニタリングでは電源の確保と同時に夜間の計測方法を考案する必要がある.マーカー設置が困難な場合は,夜間の計測ができない可能性がある. (3) 高速度カメラ画像のリアルタイム変位計測(平成23~24年度):現在の開発を継続して進める. (4) 実物構造物(鉄橋およびコンクリート橋)の変形モニタリング(平成25年度):計画では数日程度の長時間のモニタリングを予定していたが,電源と機材の安全性(盗難回避)の問題もあり,半日程度の試験的モニタリングとして実施し,将来的に変形モニタリングの可能性を確認する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
計測システムのプログラム開発に必要な謝金を増額し継続的に開発を進める.物品として,電源を確保するための安価な発電器を探している.また,研究発表のための旅費,実験のための旅費.23年度からの繰越金は謝金と物品費および旅費に当てる予定である.
|