研究課題/領域番号 |
23560580
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
頭井 洋 摂南大学, 理工学部, 教授 (30236062)
|
研究分担者 |
松村 政秀 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60315976)
田中 賢太郎 摂南大学, 理工学部, 講師 (50529724)
|
キーワード | 桁橋制震装置 / 鋼製ベローズ / 水平2軸同時載荷 / 疲労実験 |
研究概要 |
既設および新設の桁橋を対象に,大地震に対し,橋脚・基礎に作用する地震力を低減させ,かつ上部構造に生じる地震時変位を所要範囲内に抑える制震デバイス(鋼製ベローズ)の実用化を図るため,桁端部連結装置としての利用に加え,橋軸直角方向用の変位制限装置ないし制震装置として用いる方法に関し,水平2方向同時載荷時の履歴特性を実験より明らかにすること,その数値モデルの作成,これらの成果をふまえどのような構造モデルと設計法が制震デバイスの効果を検討するうえで合理的かを明らかにし,疲労試験によりベローズの疲労寿命を明らかにすることを目的としている. 2年目では,初年度に製作した橋軸方向用と橋軸直角方向用ベローズの組み合せ桁端部載荷実験用載荷治具装置で生じた問題点を改良し,桁端部を模擬したH型鋼の浮き上がり防止装置を追加して,単軸載荷実験および水平2軸同時載荷実験を実施した.わずかな浮き上がりは生じたものの,橋軸方向用と橋軸直角方向用ベローズの組み合せ桁端部の模型載荷実験により,水平1方向単軸載荷時および水平2方向同時載荷時の履歴特性を求めることができた. また,温度変化により生じる変位量に着目して,鋼製ベローズの疲労試験を実施し,疲労強度として安全率が十分あることを確認した.さらに,SM400,SM570およびLYP225の3種の鋼材から製作した小型鋼製ベローズ(半径80mm,板厚9mm)の繰返し軸方向載荷実験を実施し,鋼種によらず繰返し振幅±50mm程度であれば安定したエネルギー吸収が期待できること,引張変位載荷時の荷重上昇はベローズの扁平化に伴う小円部への引張ひずみに因ることを明らかにした. これらの成果を,土木学会全国大会に投稿した.また,常時の桁の温度伸縮に対するベローズの設計法およびベローズ設置時における桁の地震時最大応答変位推定法は鋼構造論文集に掲載された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験治具の改良により,載荷実験用桁の浮き上がりを防止することができ,水平2方向同時載荷時のベローズの履歴特性を求めることができた.鋼製ベローズの疲労試験を実施し,疲労強度として安全率が十分あることを確認できた.また,異なる3種の鋼材から製作した小型鋼製ベローズの繰返し軸方向載荷履歴特性を明らかにできた.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり,改良した載荷治具装置を用い,水平2軸同時載荷実験およびベローズの疲労実験を実施する.平行して,橋軸方向用と橋軸直角方向用ベローズの組み合わせ桁端部FEM解析および3次元モデルを用いた高架橋全体の数値シミュレーションを実施する. さらに,交通荷重により鋼製ベローズおよび桁に生じる応力を明らかにし,疲労損傷の可能性を検討し,交通荷重によるベローズの設計法をまとめる予定である.また,交通荷重により鋼製ベローズに生じる応力の計算法の妥当性を確認するため,ベローズの曲げ載荷実験も実施する予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
水平2軸載荷治具用および曲げ載荷用試験体の製作, ベローズの疲労実験用試験体の製作 ひずみゲージなど消耗品の購入
|