研究課題/領域番号 |
23560581
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 忠信 神戸学院大学, 経営学部, 教授 (00027294)
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研究分担者 |
葛 漢彬 名城大学, 理工学部, 教授 (90262873)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 構造工学 / 構造ヘルスモニタリング / カオス理論 / アトラクタ / 構造同定 / 微小損傷 |
研究概要 |
カオス信号を入力とした構造物の応答値からアトラクタを作成し、構造物が損傷を受ける前後のアトラクタを比較することで損傷検出を行う手法を提案した。一般的にアトラクタに基づく解析手法の一部は、ノイズに対してロバストであり比較的少ない時系列データに対しても適用できるという利点を有する。ここでは、まず、本研究の第一の目的としてこの手法を改良し損傷検出精度の向上を図る。アトラクタを解析する手法の1つとして、Recurrence Analysis(RA)がある。この手法は、2つのアトラクタ軌道の幾何学的な接近度を定量的に評価する手法である。カオス性を有する外力に対する構造物の応答から得られるアトラクタを、Recurrence Analysisで定義されている指標を用いて定量化し、この値を損傷前後で比較することで損傷検出を可能とする手法を開発した。検出する損傷のレベルは、健全な構造物からの剛性低下率が1%以下とする。このために、応答の時刻歴からアトラクタを作成するアルゴリズムを構築した。次に、カオス性を有する外力を入力とする構造物応答のアトラクタをRecurrence Analysisに基づいて処理することで、損傷検出アルゴリズムが構築できることを明らかにした。まず数値解析より、構造物の剛性低下が1%以下の損傷を設定し、入力と観測値に高レベルのノイズを付加した条件のもとで損傷検出を行い、提案手法の有用性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画として下9項目を設定した。項目ごとに達成度を記入する。(1)カオス現象を発生できるいくつかの微分方程式群を対象として、カオス時刻暦を発生させ、その周波数帯域特性を調査し、広範囲の周波数帯域をカバーできるカオスを抽出する(100%達成)。(2)カオス性を有する外力を入力とした構造物の応答時系列から得られる再構成アトラクタをRecurrence Analysisにおける指標を用いて定量的に評価し、指標の変化を損傷前後で比較することで損傷を検出するという新しい損傷検出手法を提案する(100%達成)。(3)一箇所の構造部材が損傷を受けても全ての構造要素の応答が変化するにも関わらず、アトラクタに基づいた損傷検出では、損傷部位による応答の変化のみが検出されるメカニズムを明らかにする(研究途上)。(4)せん断型の5層フレームモデルを対象とした数値解析により、高レベルの観測ノイズが付加された条件のもとで、非常に小さな損傷を検出できることを明らかにする(100%達成)。(5)提案手法のノイズに対するロバスト性、小さな損傷を検出できる敏感性の高いことを理論的に証明する(研究途上)。(6)3次元フレームモデルを対象に損傷検出の数値解析を行い、提案手法が複雑なモデルを対象としても十分に適用できることを示す(研究途上)。(7)ピエゾ素子を用いて、与えられたカオス信号と同じ起振力を発生できるような起振器を作成し、その性能を詳細に検査する(起振器作成中)。(8)各層の剛性と減衰特性を任意の値に設定できるようなせん断型5層フレーム模型構造物を作成する(構造モデル作成中)。(9)作成した小型起振器を模型構造物の最上階に設置して、カオス型起力で模型構造物を揺すり、構造物の応答の時刻暦からアトラクタが再現できることを確認する。実験は名状大学構内と東南大学構内で実施する(来年度へ繰り越し)。
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今後の研究の推進方策 |
(1)損傷の有無を判定するだけでなく、入力と出力の再構成アトラクタを利用した、構造同定アルゴリズムを開発する。理論展開には既に発表済みのモンテカルロフィルターやサポートベクトルマシンの概念を利用するが、時系列として再構成されたアトラクタを利用するので、従来のアルルゴリズムに比べ同定精度が向上する。(2)せん断肩5層フレームモデルを完成させと3次元フレームモデルを利用した数値解析により提案手法の有効性を検証する。1箇所のみが損傷を受けているときを対象として、同定できる損傷のレベルの最小値を明確にする。複数個所が同時に損傷した場合の組み合わせに対しても同定できる限界を明らかにする。(3) 23年度に作成途中だった5層フレーム模型構造物を利用し、提案する手法の有効性を検証する。実験を東南大学構内で実施する。(4)3次元フレームモデルを対象に損傷検出の数値解析を行い、提案手法が複雑なモデルを対象としても十分に適用できることを示す。(5)ピエゾ素子を用いて、与えられたカオス信号と同じ起振力を発生できるような起振器を完成させ、その性能を詳細に検査する。(6)各層の剛性と減衰特性を任意の値に設定できるようなせん断型5層フレーム模型構造物を完成する。(7)作成した小型起振器を模型構造物の最上階に設置して、カオス型起力で模型構造物を揺すり、構造物の応答の時刻暦からアトラクタが再現できることを確認する。実験は東南大学構内と名城大学構内で実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
模型実験を行うための費用に30万円を消耗品費として25万円を45万円を研究発表のための旅費として使用する。
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