研究課題
カオス信号を入力とした構造物の応答値からアトラクタを作成し、構造物が損傷を受ける前後のアトラクタを比較することで損傷検出を行う手法を確立した。一般的にアトラクタに基づく解析手法の一部は、ノイズに対してロバストであり比較的少ない時系列データに対しても適用できるという利点を有する。一昨年度は、カオス性を有する外力に対する構造物の応答から得られるアトラクタを、Recurrence Analysisで定義されている指標を用いて定量化し、この値を損傷検出指標と名付けこの値を構造物が損傷を受ける前後で比較することで損傷検出を可能とする手法を開発した。まず、応答の時刻歴からアトラクタを作成するアルゴリズムを構築した。次に、カオス性を有する外力を入力とする構造物応答のアトラクタをRecurrence Analysisに基づいて処理することで、損傷検出アルゴリズムが構築できることを明らかにした。本年度は数値解析より、提案手法の有用性を検証した。また昨年度に、別途研究費でカオス信号に基づいた起振力を発生できる装置を作成し、模型構造物の起振実験を行える環境を構築した。作成した起振器は偏心質量型のものであり、入力したカオス信号を正確に再現できる性能を有してはいないが、カオス特性を十分に保有する起振力を発生させることが可能であることを、昨年度の終わりから本年度の初めに確認した。次に、4層の模型構造物を作成し、最上階に作成した起振器を載せ、カオス起振力でベースライン構造物の起振実験を行った。さらにベースライン構造物の各層の柱の剛性を減少させた模型構造物を同じ起振信号で起振した。両者の構造損傷検出示指標を比較ことにより、損傷の発生場所を検出できることを明らかにした。その後、既に開発済みの適応型カルマンフィルターを用いて、損傷程度の同定を可能にした。最後に、適応型粒子フィルター理論を構築し、構造同定における有用性を検証した。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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