研究概要 |
コンクリートのような表面状態が均一でない試験体からの反射光はスペックル状になっている。これに伴う位相分布の乱れはフォトリフラクティブ型干渉計を用いることにより解決できる。しかし、依然として空間的な強度分布は存在し、シグナル/ノイズ比(S/N比)が空間的に違う。そこで、多チャンネル光検出器を用いて信号光を空間的に分割し、感度の低いチャンネルを除去するなどの処理を行い、S/N比の向上を図った。炭酸ガスレーザー(ALLTECH ALLMARK 870)を衝撃波励起用レーザーとして2台用いた。エネルギーは合計約7J、パルス幅は100nsのメインパルスに2μsのテイルを有す。ビームサイズは12mm×16mmの矩形である。このパルスを300×300×250mmで正面中央を上部から下部まで達する模擬ひび割れ(幅1.2mm、深さ25mm、 50mm、 75mm)を有するコンクリート表面に照射して表面に振動を励起させ、その信号を検出した。検出用レーザーはCW0.7WのNd:YVOレーザー(波長532nm)を用いた。レーザー干渉計装置には、フォトリフラクティブ結晶(BSO)、光検出器には多チャンネル光検出器(浜松フォトニクスH8500C)を用いた。分割するチャンネル数による違いを確認するため、16チャンネル分の信号データを結合し、擬似的に1,2,4,8チャンネルのデータを作成した。また、チャンネル数に対してS/N比がどのように変化したかを示した。1チャンネルでのS/N比を基準として(S/N比=1)増加割合を示す。使用するチャンネル数が増えるとS/N比も大きくなり、最大で約1.9倍となった。これは、使用する検出器の1チャンネルあたりの面積と、信号光のスペックルパターンの明部または暗部の面積が適切となるよう決定したことで、S/N比が向上した。
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