1)砕石砂にNa型ベントナイトを10%添加して厚さ5cmに締固めたベントナイト混合土(BMS)に対し、Ca2+濃度を0~5000mg/Lに変化させた溶液を注ぎ、Ca2+濃度が低いほど濃度変化が遮水性低下に与える影響が大きいことを示した。次に、 層厚10cmに締固めた室内遮水工模型に濃度の異なる溶液を約1日注いだ後、局所沈降実験と蒸留水浸透実験を行い、事前散水濃度500、1000、1500、2000mg/Lに対する許容局所沈下量は10.4、6.7、4.6、3.1mmになると推定した。 2)層厚50cmの屋外遮水工模型を作製し、BMS層下の局所沈下用空洞幅を変化させてその変形挙動を観察し、亀裂は空洞幅が90cmまでは発生しないが、105~120cmに達すると土層下面から30~40cmまで進展し、44kN載荷時に土層上面まで貫通すること、BMS層下面にジオネット(GN)を敷設するとBMS層上面から発生する曲げ亀裂が中部・下部から生じるせん断亀裂と連結しないことを確認した。局所沈下実験後、BMS層上面に円筒水槽を立て初期水深を80cmとする浸透実験を実施し、簡単な浸透モデルで透水係数比を評価した結果、GNを敷設しないで亀裂幅が2mmの位置での透水係数比は19となり、遮水性は亀裂の無い場合に比べ19分の1に低下していることを示した。 3)局所沈降実験で撮影したビデオ画像を解析し、肉眼で亀裂を確認できるときの平均せん断ひずみの絶対値は、室内小型沈降実験で24~35%、屋外大型局所沈降実験で8~20%にあることを示した。 4)許容局所沈下量評価法として、せん断や曲げ変形による二次応力に関係する角変形θに基づく方法を提案し、実験結果を解析して亀裂発生時と50%進展時の角変形の値として0.07と0.16を求め、層厚50cmのBMS層の許容局所沈下量は50mm程度になることを示した。
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