平成25年度は、昨年度に引き続き、有明粘土に固化材を添加して所定の養生条件で養生した供試体について力学試験と微視的土構造の観察を実施した。化学的地盤改良を施した軟弱な沖積粘土地盤に関する既往の文献調査を行うとともに、佐賀市川副町犬井道で採取されたシンウォールサンプラー試料(2m~11m)について、地盤工学的性質と微視的土構造に関する一連の土質試験を実施した。さらに、セメント系固化材による深層混合改良柱体から、シンウォールサンプリングした試料についても、同様に土質試験と微視的土構造の観察を実施した。なお、この深層混合改良柱体は上記の佐賀市川副町犬井道で採取したシンウォールサンプルの近傍に位置している。得られた一連の試験結果と、既往の文献から得られた知見を併せて、平成25年度土木学会西部支部研究発表会で発表している。 深層混合会長柱体から得られた試料の一軸圧縮試験結果から、塩水の侵入や酸化による硫酸イオンの生成による影響で強度低下する可能性があることが確認できた。しかし、既往の文献調査の結果と併せて考察すると、この深層混合改良柱体については、周辺地盤からの影響を受けていないと考えられた。 改良柱体近傍の自然地盤から採取した試料の一連の土質試験の結果から、改良柱体からのアルカリ成分の溶出の影響は受けていないことが明らかとなった。 これらの結果から、地下水の移動の影響による塩水の侵入や酸化促進による硫酸イオンの生成は生じておらず、地下水位の大きな変動もなかったことから、この思想混合改良柱体は、周辺地盤からの影響を受けず、かつ周辺地盤にも影響を及ぼしていないと考えられ、結果として、改良強度の低下は生じていないと考えられた。
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