研究課題
2009年8月に発生した駿河湾の地震により、東名高速道路の静岡県牧が原地区における盛土が崩壊した事例を研究対象とした。崩壊土砂は長靴でも歩けないほどの泥土状態であったが、崩壊せずに残った盛土部分はしっかりと締固まっており、両者の差が際立っていた。実際に崩壊した時点での盛土の強度がいくらであったのか、この問題を探求すべく実験を続けてきた。水平加速度と鉛直加速度が最大で770gal と570gal程度であった地震力で、盛土の崩壊が下部のり面(側道下のり面)の崩壊と、それによって誘発された上部のり面の崩壊の2段階で発生した。それぞれの推定すべり面に対して安定解析をした結果、盛土崩壊時に盛土が保持していたせん断抵抗suが、粘着力換算で120kPa程度であったと概算された。降雨後の地震で崩壊した東名高速道路牧の原盛土の盛土材料を実験に供したうえで現場データと比較照合したところ、現場で崩壊せずに残った盛土がおおむね1200kPa程度の定体積せん断強度を持っていたと判断された。崩壊しなかった盛土の強度が、必要せん断抵抗の約10倍であったといえる。崩壊した盛土は水がしみ込んで泥濘上になっていたから、ほぼ飽和状態であったと考えられ、その強度が水の浸透によって120kPa程度にまで低下していたと推定できる。永年の浸水による盛土の劣化・強度喪失のメカニズムを一連の実験によって推定したところ、崩壊前後の現場状況と定量的に整合し力学的に妥当と思われる結果がえられ、水による盛土の経年劣化機構が明らかになった。
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土木学会論文集C(地圏工学)
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土と基礎
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建設機械
巻: Vol.49,No.11 ページ: 56-61
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20110707.htm
http://yomiuri.co.jp/adv/chuo/dy/research/20110721.htm