研究課題/領域番号 |
23560597
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
龍岡 文夫 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70111565)
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研究分担者 |
塚本 良道 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50253505)
川邉 翔平 東京理科大学, 理工学部, 助教 (30609384)
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キーワード | 締固め度 / 盛土締固め管理 / 最適飽和度 / 締固めエネルギー |
研究概要 |
現場盛土の締固め管理は、通常室内締固め試験で得た乾燥密度ρd~含水比w関係に基づいて行う。そのため、締固め土の変形・強度特性や透水係数などの物性をρdとwの関数として捉える。しかし、ρd及び締固めた土の物性とwの関係は締固めエネルギーレベルに支配された上に非常に複雑なものである。例えば、締固めエネルギーは室内試験では標準プロクター(1Ec)を採用する場合が多いが、近代的機械化施工では通常それを軽く超える。その場合、1Ecでの最適w状態は現場では湿潤側になり、1Ecでの最大ρdに対する締固め度は100%を超える。また、1Ecでの湿潤側で施工すると現場ではかなり湿潤側になって泥寧化など過転圧の危険がある。これは、締固めエネルギーを大きくしてもρdの増加量が小さく、そのため強度増加が少なく、その一方で飽和度が100%に向かって増加してゆくため、その分強度が著しく低下するからである。加えて、通常正確な現場締固めエネルギーは通常不明なため、最適wは不明であると言う問題がある。 これに対して、本研究では以下のことを明らかにした。締固めた土のCBRなどの変形・強度特性や飽和化した後のクリープ変形特性を含む変形特性と強度特性や透水係数は、締固めエネルギーに独立な「ρdと飽和度Srの変数分離関数」で表現できる。また、最大ρdが得られるSrは締固めエネルギーにほぼ独立であり、締固め土のρd~Sr曲線の形は締固めエネルギーに殆ど依存しないし、砂礫から粘性土まで広い範囲の土質に対してかなり同じ形をしている。これらの事実に基づいて、ρdと締固め時Srに基づく現場締固め管理法を提案できる。これに関連して、いわゆる空気間隙率管理の意味についても明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果を反映して、国土交通省の「土木工事共通仕様書 品質管理基準」において締固め管理基準が、以下のように改訂された。 ・道路土工 路体(旧基準)85%以上→(新基準)90%以上 路床(旧基準)90%以上→(新基準)95%以上 ・河川土工 (旧基準)85%以上→(新基準)90%以上 このような基準の実務に対する影響力は非常に大きく、改訂は希にしか行われないことから、本研究は一定の社会的影響を与えることが出来たと言える。
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今後の研究の推進方策 |
異なるエネルギーで締固めた後飽和化した土に対するCBR試験と三軸圧縮試験を実施して、飽和化の土の変形・強度特性も締固め乾燥密度と締固め時の含水比ではなく飽和度の関数であることを確認する。その上で、締固め乾燥密度と締固め時飽和度に基づく原位置盛土締固め管理法の提案をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、各種盛土材料の排水三軸圧縮試験、CBR試験、締固め試験を実施するためと、報告書を作成するために使用する。
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