本研究は、粒状材料である土粒子による目詰まりに起因する様々な地盤の機能障害(特に透水性低下)の発生や程度の評価と対策について、多粒子限界流速や透水性挙動の予測手法および団粒化技術を用いて検討を行うものであり、特に斜面や堤防など自然発生するパイプ流と液状化対策、水抜き孔など人工のドレーンに分けて実験および解析により究明するものである。本研究は、被害の回避や新規の建設だけでなく、既存構造物の長期耐久についての予測保全としても貢献できるものである。 本研究では1)斜面内のパイプ流の発生に関する模型実験、2)土粒子の流出試験、3)堤体基礎の土粒子流出・目詰まり実験、4)団粒化による透水実験から、透水性の低下や局所動水勾配の増加による地盤の不安定化について検討を行ってきた。その結果、以下の成果を得ることができた。 斜面に平行な流れ(斜面内流)を発生させた模型実験を行った結果、圧力水頭が負圧から正圧かわる時点で破壊が発生し、飽和域が斜面内に発生することで破壊が生じること、斜面内流の流量が大きくなると、目詰まりを引き起こし飽和域の発生と正圧力の増加で崩壊すること、層変化するような境界で目詰まりを発生しやすいことも得られた。 また、土中の土粒子が流出する内部浸食は、Kenneyらのフィルターの安定指標を用いることで粒度分布からも評価でき、豊浦砂とサバ土(まさ土)を用いて土粒子流出実験を行った。その結果、内部浸食により土粒子が流出、透水性が変化することを確認している。また、土粒子の流出や目詰まりの発生を確認するため、飽和土に誘電率水分センサーを使って体積含水率の変化から、間隙率の計測を行い、発生個所や拡大箇所について明らかにした。
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