• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

衛星リモートセンシングによる非線形波浪の水位分布を考慮した高精度波高推定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560607
研究機関新潟大学

研究代表者

泉宮 尊司  新潟大学, 自然科学系, 教授 (60151429)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード非線形波浪 / リモートセンシング / 結合確率分布 / 水位分布 / 波高分布 / 波高推定 / skewness / kurtosis
研究概要

衛星リモートセンシングによる有義波高の測定においては,水位と水面勾配の結合確率分布が用いられ,従来の手法では観測域の水位分布をGauss分布に従うものと仮定している.しかしながら,波の非線形性の影響が強い場合は,この仮定は成立しない.波の非線形性により変化するskewnessやkurtosisを考慮した分布推定法としてGram-Charlier級数を用いる方法があるが,この方法では確率密度の値が負となる欠点がある.そこで本研究では,波の非線形性とskewnessやkurtosisとの関係について考察し,それらを考慮したGram-Charlier級数に代わる新たな結合確率分布推定法を提案した.結果,以下の事柄が明らかとなった.(1)現地波浪において,水位のskewnessとkurtosisの間に正の相関関係があることが認められた.一方,室内実験の風波には負の相関関係が見られた.また,波形勾配と水位のskewnessとの関係,および最大波高と有義波高の比と水位のkurtosisとの関係について,共に明確な相関関係があることが分った.(2)風波の水面勾配のskewnessとkurtosisの間には負の相関が見られ,またskewnessは,風速の増大と共に小さくなることが明らかとなった.すなわち,波が風により風下方向に傾く傾向が見られた.(3)指数関数の積で表わされる結合確率密度関数の推定法を開発した.この方法は,確率密度の非負値性を満たし,かつ高次モーメントの影響が適切に考慮される利点がある. (4)室内実験で観測された風波の水位と水面勾配の結合確率分布より,水位,水面勾配の両方について分布の非対称性が見られた.その実測値との比較により,高次モーメントを考慮した結合確率分布推定法は,実測値に見られる分布の非対称性を精度良く表わすことが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水位および水面勾配のskewnessおよびkurtosis等の高次モーメントを用いて,水位・海面勾配結合確率分布を算定する手法を開発し,実験結果および過去に行われた現地データとの比較も行い,適切なる結果を得ている。ただし,高次モーメントの値がGauss分布のその値と大きくことなると,安定した結果が得られないこともあることが判明したので,その改良が必要である。

今後の研究の推進方策

当初,ブイの傾斜角を計測して水面勾配を計測する予定であったが,ADCPを用いて4方向の水面の位置を計測する考えのもと,現地観測を実施する予定である。その結果を整理して,改良した理論値と比較・検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

現地観測を行うので,傭船料30万円,高速応答360度傾斜計(3台),タートル工業社製, TUSB-L01ANG,(3台×50千円)15万円,学会出張旅費20万円,その他消耗品費である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 順風および逆風下におけるうねりと風波の発達特性に関する実験的研究2011

    • 著者名/発表者名
      泉宮尊司, 横山祐機, 石橋邦彦
    • 雑誌名

      土木学会論文集 B2 (海岸工学)

      巻: Vol.67, No.2 ページ: 151 - 155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Deconvolution法を用いた長周期波の水位波形推定法に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      小林雄一,泉宮尊司
    • 雑誌名

      土木学会論文集B3(海洋開発)

      巻: Vol.36 ページ: 859 - 864

    • 査読あり
  • [学会発表] 高精度波高推定のための非線形波浪の水位分布特性に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      山下正輝,泉宮尊司
    • 学会等名
      土木学会関東支部新潟会研究調査発表会
    • 発表場所
      長岡市
    • 年月日
      2011年11月22日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi