研究課題/領域番号 |
23560609
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
禰津 家久 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30109029)
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研究分担者 |
山上 路生 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362458)
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キーワード | 風波現象 / ラングミュア循環流 / 室内水路計測 / ガス輸送 |
研究概要 |
温室効果ガスである二酸化炭素の大気および海洋循環を正確に予測することは,地球温暖化問題を解決するために必要不可欠な課題であり多くの工学・地球科学分野で鋭意研究されている.特に海洋・湖沼・河川などの水層と大気層の異層界面における物質,熱および運動量の輸送現象が温暖化素過程解明のためのキーポイントとなる.このためこれまでに世界各国で最先端研究が進められており社会的関心も高いため,界面近傍の乱流構造やガス輸送プロセスについて貴重な知見が得られてきた.しかしその多くが鉛直方向の1次元的および2次元的なアプローチに限定されており,現実の環境流体現象に適用するには十分ではなく当該分野の共通認識課題である.実際の環境流体では様々なスケールの循環流や乱流渦が混在し強い3次元性を呈するとともに界面の輸送現象に大きく影響する.特に海洋や湖沼では風波に起因するラングミュア循環流が生成する.中でもスーパーセルと呼ばれる水深スケールの大規模循環流の存在も確認されており,海洋大循環に大きな影響をもつと考えられている.ラングミュア循環流は風下方向に回転軸をもち,その発生メカニズムには諸説があるが波と流れの相互作用によって説明するCL2理論が最も有力である.自由水面にはラングミュア循環流による浮遊物質が集積する領域がしばしば観察されることから,溶存ガスの移流拡散輸送にも重要な役割をもつことが容易に想像できる.ラングミュア循環流の生成特性とガス輸送メカニズムの解明は,温暖化素過程を正確に知るためにきわめて重要な研究トピックスである.本研究では特にマルチカメラシステムによる実験水路におけるラングミュア循環流の計測とその3次元構造の解明に成功した。またガス輸送特性に与えるスーパーセルの効果についても実験的に明らかにし、土木学会論文集など、国内外の論文集や学会にてその成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標である、次の大きな課題を達成した。 1)マルチカメラシステムの開発および、ラングミュアー循環流の室内水路における3次元計測 2)ラングミュアー循環流の発生によって、ガス輸送が促進される特性を実験的に明らかにした。 以上の成果を土木学会論文集等の審査付ペーパで発表した。この実績から本プロジェクトは順当に達成できているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは流れの計測を中心に取り組んだが、最終年度ではDO特性の詳細を調べるためLIFによる可視化手法を導入し、ステレオPIVにカップリングする。
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次年度の研究費の使用計画 |
LIFに必要な光学系備品、薬品および消耗品の購入、さらに研究成果の出版費、学会発表の旅費に使用する予定である。
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