研究課題/領域番号 |
23560613
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研究機関 | 明石工業高等専門学校 |
研究代表者 |
神田 佳一 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60214722)
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研究分担者 |
渡部 守義 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00390477)
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キーワード | 水工水理学 / 自然現象観測・予測 / 環境技術 / 環境生態学 / 洪水 |
研究概要 |
本研究は、近隣の播磨地域で産出される石礫や間伐材などを用いた木杭列護岸による河川整備を明石市内の小河川に適用することを目的とし、その構造設計指針及び維持管理手法の開発を目指すものである。平成24年度の研究成果の概要は以下の通りである。 1. 木杭の腐食耐久性と施工方法に関する実験的検討:水浸と乾燥の繰り返しによる腐食に対する木杭の耐久性について,材質や表面処理法の異なる数種の木杭材料を流水中に設置した実験を行い、水深や流速等をパラメータとして腐食の程度や進行速度と木杭強度の関係を明らかにした。また、実河川においても同様の現地調査を行い、腐食に対する耐久性の高い木杭材料の選定と施工方法を提案した。 2. 木杭列護岸周辺部の流れ及び河床変動特性に関する数値解析:木杭列護岸周辺の流れ及び河床変動特性に関して、護岸背面の浸透流を考慮したモデルを用いて数値シミュレーションを行い、実験結果を検証するとともに浸透流速や護岸構造がその安定性に及ぼす影響度について考察するととに、護岸材料の変形・流出に伴う境界形状の変化と周辺河床の洗掘過程を同時に解析した。 3.喜瀬川水系における水質及び水生生物の生態に関する現地調査:2級河川の喜瀬川において、河川横断構造物が周辺の水生生物と水質に及ぼす影響について評価を行った。堰直下に位置する調査区域では、平成22年から平成24年の間、出水により河道が3回変化し、狭い川幅で護岸の植生が繁茂した蛇行した河道から徐々に、河床や護岸のコンクリートブロックが露出した矩形断面の河道に変化している。複雑な河道から単純な河道に変化した結果、メダカやエビ類が激減した。また、PHABSIMを用いたヨシノボリの生息場環境評価から、河川形状が蛇行し瀬や淵また植生がある河道の方がヨシノボリの生息に適していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の達成目標とした実施計画については、概ね順調に進展している。木杭の腐食耐久性と施工方法に関する実験的検討では、腐食進行度を評価するパラメータとして針入度のみを用いたが、今後弾性波の伝播速度についても検討する予定である。木杭列護岸周辺部の流れ及び河床変動特性に関する数値解析についても、平成23年度の明石川に加えて、喜瀬川の木杭列低水護岸を対象として解析を進め、実河川のデータとの検証に至っている。河川地形、水質及び水生生物の調査については、予定通り定期的に実施されており、その結果を用いた河川生態環境の評価法については概ね構築できている。これらの研究成果は国内外の学会及び研究紀要等で発表している。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 木杭列護岸の水理特性及び河床変動特性の定式化と現地河川への適用:平成24年度の研究を引き続き行うとともに、透過性護岸に関する水理特性や環境水理機能の生物に対する効果、周辺河床の洗掘特性、護岸の変形・破壊特性と予測モデルの提案など個々の研究内容の基礎的な部分を定式化する。さらに、平成24年度に得られた結果を基礎にして、予測モデルの現地への適用について具体的に進めていく. (2) 木杭列護岸の環境機能の評価と水質浄化法に関する検討:木杭による透過性護岸の水質浄化等の環境機能を明らかにするため、模型実験と現地観測に基づいてその指標となる護岸周辺の再曝気量や再曝気係数を評価し、BOD 等の水質指標との関連性及び水質浄化法としての有用性について考察する。また、近年の森林整備とからんで間伐材の再利用が問題となっており、伝統河川工法などへの間伐材の利用、近隣の石礫材料などを用いた場合の経済性などについても合わせて検討する。 (3) 研究のまとめ:以上の研究成果を総合して、木杭による多自然型透過型護岸周辺の流れや河床変動特性及び水質浄化機構を明確にし、その水理及び生態環境機能を総合的に評価するとともに、水生生物の生息環境からみた合理的な設計法及び維持管理手法の指針を提言する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度においても、対象河川の水質・生物調査を継続すると共に、木杭の腐食耐久性に関する実験及び木杭護岸周辺の河床変動に関する水理実験を行う予定である。必要な研究経費としては、対象とする河川の護岸構造を実験水路上に再現するための石礫材料や アクリル板、アルミ部材及び間伐材料等の資材、ビデオテープやCD等のデータ記録媒体、水質試験用試薬や投網・タモ網など魚類調査具等の消耗品を計上している。 また、旅費としては、明石川及び喜瀬川等の調査・観測費用と資料収集のための旅費、成果発表のための国内旅費及び外国旅費である。成果発表は、日本高専学会年会講演会、土木学会全国大会年次学術講演会、河川技術シンポジウム及び国際水理学会(IAHR)主催 の国際会議等への参加・発表を予定している。 謝金としては、現地測量、採水、生物調査その他の現地調査と水質試験、水理模型実験等の補助及びデータ整理に3名の研究協力者の雇用費を予定している。
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