研究課題/領域番号 |
23560616
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
長尾 正之 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (70251626)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | クロロフィルa / 植物プランクトン / ブルーム / 時系列解析 / ダム |
研究概要 |
強制循環装置の設置がなされているダムでいまだに発生しているカビ臭対策の一環として、カビ臭原因物質の原因微細藻の急激な増殖減少の予測に資するため、本研究では時間分解能が高いダムのクロロフィルa時系列データの解析を通じて、植物プランクトンの急激な増殖の予測に必要な基礎研究を実施する。 国土交通省から得た水質鉛直分布連続時系列データを解析し、2008年春秋と2009年春秋のブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係性について検討を開始する。具体的には、釜房ダムの貯水位-容量曲線を考慮し、各層のクロロフィルa鉛直分布データに深度ごとのダム体積をかけて足し合わせ、総クロロフィルaを計算し、その2時間ごとの変化について、2008年と2009年の時系列を作成した。 この総クロロフィルa時系列を、一定幅のセグメント(たとえば5日ごと)に区切り、卓越周期変動(24, 12, 8, 6時間)の時間的変動特性を求めた。この変動特性を、ブルーム発生前、最中、発生後に分類し、特性の類型化が行えるかどうか検討した。 5日から10日程度の周期を持つ、総クロロフィルaの中期変動特性についても、ブルーム発生前、最中、発生後に分類し、特性の類型化が行えるかどうか検討した。 IEEE/MTS Oceans’12に参加し、最新の海洋・内水域の植物プランクトン測定機器や調査技術に関しての情報を収集したほか、参加している研究者や機器開発技術者と研究情報の交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国土交通省から得た水質鉛直分布連続時系列データを解析し、2008年春秋と2009年春秋のブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係性について検討を開始した。この総クロロフィルa時系列を、一定幅のセグメントに区切り、卓越周期変動の時間的変動特性を求めた。この変動特性を、ブルーム発生前、最中、発生後に分類し、特性の類型化が行えるかどうか検討した。5日から10日程度の周期を持つ、総クロロフィルaの中期変動特性についても、ブルーム発生前、最中、発生後に分類し、特性の類型化が行えるかどうか検討した。検討結果をまとめて、学術誌に投稿準備中である。
|
今後の研究の推進方策 |
過去のダムの水質鉛直分布データを国土交通省から提供を受けて解析し、それ以前のデータの解析結果を含めてブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係性について研究を継続する。中期的な総クロロフィルaの時間変動特性についても、期間をブルーム発生前、最中、発生後に分類し、特性の類型化が行えるかどうかを前年度に引き続いて検討する。多波長蛍光強度系と採水分析とを併せて、ブルーム中の植物プランクトン種構成について時間変化を追跡する観測を実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
水温長期観測のための小型水温計を4台整備するほか、観測用消耗品として乾電池、ロープ、アンカー、ブイ、記録用DVD-R,分析用消耗品、分析用試薬を準備する。研究機関から現地までの調査費として4日間×2名分×3回分の旅費を必要とするほか、蛍光型植物プランクトン分別装置借損料、植物プランクトン分析費用を必要とする。
|