研究課題/領域番号 |
23560616
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
長尾 正之 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (70251626)
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キーワード | クロロフィルa / 植物プランクトン / ブルーム / 時系列解析 / ダム湖 |
研究概要 |
強制循環装置の設置がなされているダムでいまだに発生しているカビ臭対策の一環として、カビ臭原因となる微細藻類の急激な増殖現象の予測に資するため、時間分解能が高いダムのクロロフィルa時系列データの解析を通じて、植物プランクトンの急激な増殖の予測に関する基礎研究を実施する。 昨年度に引き続き、国土交通省から得た釜房ダムの水質鉛直分布時系列データを解析し、春秋ブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係について検討を行った。具体的には、総クロロフィルa量の時系列をセグメント幅(たとえば5日間)に区切り、セグメント内の卓越周期変動の時間的変動特性(ここでは24時間、12時間、8時間、6時間とした)を求め、その特性が、植物プランクトンの急激な発生の前後で類型化が可能かについて検討した。また、5日から10日程度の周期を持つ、総クロロフィルa量の中期変動特性についても、植物プランクトンの急激な発生の前後で類型化が可能かについて検討した。 また、カビ臭原因となる微細藻類の起源が、ダム湖内のみならず、ダム湖流域の河底や浅い湖底であるという可能性があるため、その量を迅速に測定するために、付着藻類量を蛍光により測定できる装置を導入し整備した。 東北大学および立正大学のダム湖と自然湖沼の研究者との間で研究打ち合わせを実施し、対象研究流域の特性や調査技術に関しての情報を収集したほうか、研究情報の交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き、国土交通省から得た釜房ダムの水質鉛直分布時系列データを解析し、春秋ブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係について検討を行った。総クロロフィルa量の時系列をセグメント幅に区切り、セグメント内の卓越周期変動の時間的変動特性を求め、その特性が、植物プランクトンの急激な発生の前後で類型化が可能かについて検討した。また、5日から10日程度の周期を持つ、総クロロフィルa量の中期変動特性についても、植物プランクトンの急激な発生の前後で類型化が可能かについて引き続き検討した。検討した。 また、カビ臭原因となる微細藻類の起源が、ダム湖内のみならず、ダム湖流域の河底や浅い湖底であるという可能性があるため、その量を迅速に測定するために、付着藻類量を蛍光により測定できる装置を導入し整備することができた。
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今後の研究の推進方策 |
過去のダムの水質鉛直分布データを国土交通省から提供を受けて解析し、それ以前のデータの解析結果を含めてブルーム発生と総クロロフィルaの卓越周期との関係性について引き続き検討する。中期的な総クロロフィルaの時間変動特性についても、ブルーム発生前後で類型化けが可能かを精査する。浅い湖底や流域内の河底での付着藻類量、ダム湖内の藻類量と採水分析などを併せて、ブルーム中の植物プランクトン種構成について時間変化を追跡する観測を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
観測用消耗品として乾電池、ロープなどを購入するほか、記録用メディアを購入する。研究機関から現地までの調査費を必要とするほか、植物プランクトン分析費、送料を必要とする。
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