本研究の目的は、地域の成長と発展に不可欠な地域航空ネットワークの維持・展開を可能とするため、複数の自治体が「共同で空港経営をする」ことと「航空機材の共同保有をする」ことの枠組みを提案し、地域が連携する効果を定量的に評価するものであった。この目的を達成するため、これまでに次の2つの分析を行った。①欧米の先進事例とわが国の都市間交通の実態分析から、座席数80-100人の小型航空機材を用いた地域航空ネットワ-クの適用対象を抽出した。②マクロな視点から、地域ブロック単位の航空ネットワ-クを想定して、自治体連携による「複数空港の共同経営」と「複数自治体の航空機共同保有」が国民の社会的厚生にどのように影響するかを分析した。 研究の最終年度である平成25年度は、航空路線というミクロな視点から、地域航空ネットワ-ク導入のシナリオ(ロ-ドマップ)に応じたリスク分析を行った。この分析結果より、地域連携による持続可能な航空ネットワ-ク形成の可能性・実現性の評価を行った。3年間の研究のまとめとして、自治体の投資に対応してどの路線が追加的に維持でき、その効果がどのくらいかを明示できた。 また、3年間の研究期間全体を通じて、ミクロ分析によるネットワ-ク形成の可能性・実現性の評価に必要となる4つのモデル(需要モデル、航空事業改善モデル、空港経営改善モデル、モデル統合による評価モデル)を完成できたことも、当該分野に研究の発展に資するの成果のひとつである。
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