研究課題/領域番号 |
23560620
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
川上 洋司 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10152927)
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研究分担者 |
三寺 潤 福井大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (80585711)
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キーワード | 地方鉄道 / 事後評価 / 価値認識 |
研究概要 |
昨年度(H23年度)の研究成果を総括し、その一部については都市計画論文集(審査付)、都市計画学会中部支部研究発表会・論文集に掲載、またえちぜん鉄道再生後10年経過後の事後評価と今後の取り組みについては、「運輸と経済」(運輸調査局)に投稿、掲載された。 今年度は当初設定した研究フレームと昨年度(H23年度)の研究成果を踏まえて、大きく以下の二つの具体的課題について調査・研究を行った。 先ず一つは、えちぜん鉄道に対する沿線自治体の価値認識に関するものであり、えちぜん鉄道再生を支援している沿線5市町の関連行政分野の担当者を対象に2回のアンケート調査を実施し、その分析を通して直接担当する交通分野以外の福祉、環境、商工・観光等の周辺行政分野においても、当該分野の施策推進にえちぜん鉄道の存在が関係、寄与しているとの認識を有していること、つまりえちぜん鉄道が果たしている多様な公益施策代替性としての価値を確認し得た。 二つは、昨年度の沿線住民によるえちぜん鉄道の存在価値等を含む多様な価値認識の把握を発展させ、えちぜん鉄道の結節点である駅周辺の居住者を対象にアンケート調査を実施し、その結果を詳細に分析することによって「駅周辺地区に住む・住んでいる」ことの価値認識の存在、及びその認識構造を明らかにした。この成果の意義は、集約型都市構造への誘導、公共交通指向型都市開発(TOD)の推進に向けての施策展開の可能性を住民の意識面から裏付けたことにあり、地域におけるえちぜん鉄道の価値の一面を実証し得たといえる。 以上は、本研究課題の主要な成果をなすものであり、学会等にて発表することにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度(H24年度)予定していた沿線立地事業者が認識しているえちぜん鉄道の外部経済効果に関する価値認識の把握については次年度取り組むことにし、その代わりに当初の実施計画を発展させ、沿線住民によるえちぜん鉄道の駅周辺に住む・住んでいることの価値認識把握を行った。実施する研究課題に変更はあったが、研究目的の達成度としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたるH25年度は、①当初計画の未実施課題である沿線立地事業者による価値認識の把握に加えて、②初年度(H24年度)作成した福井市の都市開発動態に関するデータベースとそれに基づいた予備検討を発展させ、えちぜん鉄道が都市構造に与えた影響の実態と今後の誘導の可能性についての実証的分析と考察、③えちぜん鉄道や関係自治体による新駅設置計画に関して、関係主体と共同し新駅設置の効果予測、設置の妥当性検討を行う。なお、③は当初想定していなかった課題であるが、えちぜん鉄道の価値創出にかかわるものであり、またえちぜん鉄道や沿線自治体にも直接寄与しうる課題と位置付けている。 最後に以上の成果と過去2か年の成果を総括し、最終成果として取りまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
残された課題のための調査等の実施経費、成果発表のための旅費、最終的な成果とりまとめのための経費として、当初の計画通り(物品費5万円、旅費10万円、人件費・謝金15万円、その他20万円)使用する予定である。
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