研究課題/領域番号 |
23560623
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 克弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70222809)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 図形情報板 / 高速道路 / デザイン |
研究概要 |
本研究では,ドライビング・シミュレータを用いた室内走行実験を行なうことで,図形情報板のデザインの統一性に対する検討を行なった.まず既往研究等のレビューおよび,高速道路関係者を対象としたヒアリングを行なうことで,図形情報板に求められる機能を調査した.同時に,図形情報板をいくつの構成要素に分割できるのか,各構成要素において,どのような水準が存在するのかについても調査をした.得られた結果に基づき,図形情報板のCGを作成した.具体的には,比較対象となる名神高速道路上り線,草津JCT手前の図形情報板(以下,現行)に対して,ある構成要素を一水準変更し,その状態をCGとして作成した.この過程を構成要素×水準の組み合わせ全てについて行なった.この図形情報板のCGを,3次元CGで再現された高速道路上の同一地点に表示させ,これを投与刺激とした室内走行実験を行った.この実験において取得する,各機能における各代替案の重要度の一対比較結果や,アイマークレコーダにより取得した視線座標データから算出した注視時間に関する一対比較結果を用いて,AHPを準用することで,機能ごとに各代替案の重要度を算出した.この各機能における各代替案の重要度および,機能自体の重要度を用いて,各代替案の総合的な重要度を算出した.そして,現行の図形情報板よりも総合的な重要度が大きい代替案を把握することで,「図形情報板のどの構成要素が図形情報板に求められる機能に影響を及ぼすか,その構成要素は機能の観点からどのような水準であれば良いか」を把握した.結果として,余白および文字高が大きい場合は被験者の属性に関係なく支持されること,路線名の文字装飾が無い場合は被験者の属性に関係なく支持されないことがわかった.つまり,図形情報板をデザインする上で,文字の装飾,余白の大きさ,文字高の3構成要素の表記に特に留意するべきであるという知見を得た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成23年度の研究実施計画を予定通り遂行し,その成果を学会で報告している,さらに,研究を遂行する上で得られた課題についても,平成23年度中に検討を開始している.
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度の成果として,図形情報板をデザインする上で,文字の装飾,余白の大きさ,文字高の3構成要素の表記に特に留意するべきであるという知見を得たが,これら構成要素の相互作用を検討することが課題として示された.平成24年度では,まずこの課題について検討を行う.JCT部では,JCT2km前(予告標識),1km前,500m前,分岐点に標識が設置される(状況によっては補完的に情報板が設置される)が,図形情報板は2km前標識と1km前標識の間に設置されることが多い.つまり図形情報板は,その前後の標識・情報板と一体で利用者に情報を提供することから,標識・情報板相互の関係(注視状況,判読内容・順序等)を明らかにし,望ましい提示内容ついて検討を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
上述した方針で研究を進めるためには,平成23年度に作成したCGを援用して,追加実験を行う必要がある.交付申請書に記載した通り,この実験に必要な物品購入費として100,000円,実験に必要な人件費・謝金として450,000円を予定している.さらに,得られた成果の報告に必要な旅費として300,000円,その他費用として150,000円を予定している.
|