研究課題/領域番号 |
23560623
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 克弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70222809)
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キーワード | 図形情報板 / 高速道路 |
研究概要 |
平成24年度は、図形情報板とその前後に設置される情報提供施設との関係性を把握することを計画しており、このための実験を行った。実験区間は東名下り御殿場IC約1km上流から御殿場JCT分岐部までの約5.4kmとした。被験者には、目的地を浜松市とし、東名・浜松ICまたは新東名・浜松浜北ICに向かうべく、情報提供施設から提供される情報をもとに御殿場JCTで分岐することを課題とした。実験結果を解析した結果、図形情報板は、非高齢者・高齢者ともに経路選択に最も活用されていることが明らかとなった。 また平成23年度の研究成果を発表する過程で、複数の図形情報板構成要素の水準を同時に変更した場合や、より詳細な水準を設定した場合の結果が得られていないという課題が指摘された。この課題を受け平成24年度は、平成23年度より詳細な構成要素の水準を設け、各構成要素の主効果と構成要素間の交互作用の有無を検証するとともに、各構成要素の水準の変化に伴う感度の分析も行った。 まず目的遂行のための図形情報板案を考案し、これらを投与刺激としてドライビングシミュレータを用いた室内走行実験を実施した。次に得られた実験結果を平成23年度に構築した手法で解析し、図形情報板の相対比較値を求めた。そしてこの結果を用いて、分散分析およびTukeyの加法性の検定を行い、図形情報板の各構成要素の主効果と構成要素間の交互作用の有無を検証し、主効果の存在するものに関しては、多重比較によって、どの水準間で差があるかを明らかにした。 具体的な成果として、余白の大きさと文字高の交互作用は存在しなかった。また余白の大きさの主効果および文字高の主効果はいずれも存在し、余白の大きさは、情報板1辺の長さが基準とする現行の情報板より5%増加した場合、文字高は、基準とする現行の情報板より10cm大きい50cmが最も支持されることが統計的に明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書では、平成23年度:図形情報板単体のあり方に関する検討、平成24年度:図形情報板とその前後に設置される標識との関係性把握、平成25年度:研究成果の空間移転性検討と総括という目的を掲げている。 平成24年度終了時点では、図形情報板とその前後に設置される標識との関係性把握(上記平成24年度目標)のための実験、研究成果の空間移転性検討(上記平成25年度目標)のための実験は終了している。このデータを解析し、研究成果を総括することで、平成25年度終了時点には、交付申請書に掲げた成果を得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
図形情報板とその前後に設置される標識との関係性把握(平成24年度目標)のための実験結果、研究成果の空間移転性検討(平成25年度目標)のための実験結果を解析し、研究成果を総括することで、交付申請書に掲げた目標を達成する。 なお、平成23、24年度では、実験終了後に被験者から図形情報板をはじめとする情報提供施設に関して自由意見を求めている。この結果を整理すると、図形情報板に提示される情報内容と情報のレイアウトに関して多くの意見が寄せられていることが分かっている。研究成果を総括するにあたり、平成24年度実験で得られた被験者の意見・要望を反映した図形情報板を考案し、室内実験を行うことで、多様なユーザーの意見を反映しうる提示情報とレイアウトについても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述した推進方策で研究を進めるためには、今年度取得したデータの解析に加え、平成23、24年度に作成したCGを援用して、追加実験を行う必要がある。交付申請書に記載した通り、実験に必要な物品購入費として50,000円、実験に必要な人件費・謝金として400,000円を予定している。さらに、得られた成果の報告に必要な旅費として200,000円、その他費用として150,000円を予定している。
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