研究課題/領域番号 |
23560628
|
研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
徳永 幸之 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (40180137)
|
研究分担者 |
佐々木 公明 尚絅学院大学, 公私立大学の部局等, 名誉教授 (10007148)
風見 正三 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (00510645)
物部 寛太郎 宮城大学, 事業構想学部, 助教 (90448621)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 地域公共交通計画 / 生活満足度 / 交通弱者 / 計画支援システム |
研究実績の概要 |
本研究では,まず,生活実態及び満足度調査に基づき,“潜在能力”を計測する方法を検討した。具体的には,年齢や運転免許の保有,車の利用可能性などの属性と交通・商業環境の異なる地域別に生活行動実態と満足度を比較分析することで計測を試みた。その結果,同一地域内での分析では,高齢である,運転免許がない,車利用に制約があるといったいわゆる交通弱者において,それらが生活満足度を低下させる要因になっていることが明らかになった。このことは,地方都市においては公共交通のサービス水準は十分とは言えず,公共交通の利用から得られる潜在能力が低いことを示している。また,バスサービスの中では運行頻度の満足度への影響が大きく,時間的な選択の“機会”が福祉に大きな影響を及ぼしていることを示している。より公共交通のサービス水準が低い(商業等の立地分布の影響も含めて)地方部における分析でも同様の結果が示されたが,都市部より明らかに条件が悪いにもかかわらず買物に関する満足度への影響は小さく,“適応”が生じている可能性が示された。 上記分析からは,地域公共交通計画において運行頻度が重要であることが示された。限られた経営資源の中で運行頻度を高めるためには,路線網と運行ダイヤの効率化が必須となる。本研究では運行実態調査データをGISやExcel上で視覚化し,自治体担当者でも操作可能な再編支援システムの構築を行った。これを東日本大震災被災地に適応し,毎年の再編作業(住民の合意形成を含む)を円滑にすすめるとともに利用者増加という成果を得ることができた。 最終年度においては,交通弱者の定義の見直しを行い,“強交通弱者”を特定するとともに,強交通弱者でも従来から免許を持たない人と免許返納者で行動や満足度に大きな違いが存在し,今後の地域公共交通計画における重要な視点を明らかにできた。
|