平成24年3月および4月、平成25年3月、平成26年3月の延べ4回にわたって、SPAC(測位衛星利用推進センター)およびJAXAの支援を得て、準天頂衛星から発信されるLEX信号の受信実験(精度検証)を実施した。 最終年度(平成25年度)は平成24年3月および4月、平成25年3月に実施した実験結果の精査を行い、平成26年3月にこれらの結果を再確認するための実証実験を実施した。平成26年3月の実験結果は現在精査中であるが、平成24年3月および4月、平成25年3月に実施した実験結果から以下の3項目が実験における最終成果として結論を得ることができた。①5分程度の定点観測によるLEX解とVRS解の観測結果の両者に大きな差はなく、センチメートル級の精度が確保できることが分かった。②高速道路を使用した高速移動体による実験および徒歩による低速移動実験でも観測環境に影響されてはいるが、受信できた結果からは精度的には問題ないことが分かった。③みちびき1機による観測であるため、衛星の仰角と受信状態に原因不明のばらつきがあったが、その原因を明らかにするには至らなかった。 LEX信号を用いたセンチメートル級測位は、本研究のテーマである「準天頂衛星とGPSを用いたシームレス測位による地図の精度向上および更新技術の構築」はもちろんのこと、測量をはじめとして情報化施工、農業における移動計測などを中心として様々な用途に広がっていくと考えられる。また、将来的には車の自動運転などに関連して、当該技術の応用も可能であると考えられる。本研究の取り組み期間中は準天頂衛星が1機のみの運用であったため、充分な成果を得るための環境が整備されていなかったが準天頂衛星が4機体制になる2010年後半までに更なる研究を進める予定である。
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