研究課題
歩行者交通は低酸素型社会において非常に重要であるが、その空間整備は画一的でなく、地域特性が反映されたものであることが望ましい。歩行行動様式、あるいは歩行行動に対する意識・態度などは、地域におけるライフスタイル、ものの考え方や社会の捉え方といった地域住民の特性に影響を与える一方で、逆に歩行行動はこれらから影響を受けていると考えられる。本研究ではこのような相互関係を地域における「歩行者交通文化」と呼ぶことにした。本研究は上記の関係を具体的に示すことにより、「歩行者交通文化」概念を確立するとともに、これに基づいて歩行者空間整備を行う手法について提案することを目的とした。本研究は、日本国内15都市および海外7都市において、歩行行動に関するアンケート調査ならびに実測調査を実施し、これに基づいて、地域住民のライフステージ、ライフスタイル、生活習慣等を含んだ広義の文化と、歩行者の行動特性および歩行に対する意識や態度との関係について実証的に分析した。特に、ライフステージおよびライフスタイルが歩行者意識や歩行行動に影響しており、その程度は都市によって異なることを明らかにした。さらに、これらの分析結果に基づいて、都市の特性に応じて、歩行者空間整備の望ましい方向を提案した。本研究は、日本を中心とした東アジアの22都市において同様の内容の調査を実施し、それぞれの地域あるいは都市において、上記の検討を実施することができたから、「歩行者交通文化」概念は地域特性を生かした歩行者空間整備に資するものであり、本研究の成果によって、歩行者交通文化」の概念を概ね確立することができたと考えられる。
すべて 2013
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Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies
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International Journal of Urban Sciences
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