研究課題/領域番号 |
23560646
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
荒木 宏之 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 教授 (70117315)
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研究分担者 |
三島 悠一郎 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究員 (90612664)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ハイドロタルサイト / ゼオライト / リン回収 / 吸着 / 脱着 / 再生 |
研究概要 |
本年度は吸着材の造粒化と担持に関する試作と性能評価を行った。HTとZeの両吸着材は共に粉末状として製造されるため、水処理プロセスへ適用する場合には造粒化や担持させる必要がある。そこで、下記の要領でそれぞれの吸着材の造粒化を試み、性能評価を行った。1)造粒化の検討:ゼオライトは廃ガラスを原料として水熱合成で製造された「ガラス粉末ゼオライト」を用い、セメントをバインダーとして1.0~3.0mm程度で粒状化させた。ゼオライトの性能は陽イオン交換容量(CEC)により評価され、造粒前後のCECは各々250と100程度であった。市販の造粒ゼオライトも100程度のCECで、十分なアンモニア吸着能を有していることから、試作した粒状のガラス粉末ゼオライトについて引き続き性能評価を行った。ハイドロタルサイトは通常のものよりも結晶格子サイズが小さな「ナノサイズハイドロタルサイト(NLDH)」を用いた。これは製造段階で自己造粒性がありバインダーを用いることなく造粒化が可能である。性能評価は0.5mm以下、0.5~1.2mm、1.2~2.0mm程度の各種NLDHを用いて吸・脱着能を比較して行った。2)吸着材の性能評価:吸着能の評価は、アンモニア及びリン酸水溶液へゼオライトと粒状NLDHをそれぞれ浸し、吸着能を調べた。その結果、両吸着材は目標とする吸着物質を十分に吸着可能なことが明らかとなった。脱着については、アンモニアとリン酸をそれぞれ吸着したゼオライトとNLDHをアルカリNaCl水溶液に浸し(共役的脱着)、吸着物質の脱着量を測定した。その結果、吸着したほとんどのアンモニアとリン酸が脱着液中へ脱着されることを確認した。 以上の結果から、粒状ガラス粉末ゼオライトは本法に資するアンモニア吸・脱着能を有していることを確認した。NLDHも同様に、十分なリン酸の吸脱着能を有していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り吸着材の造粒化と吸・脱着能を確認できたため区分(2)とした。当初の計画では吸着材の繰り返し使用などの検討項目を記載していたが、造粒試験の期間を長くしたため行っていない。しかし、これは次年度に次年度の課題とも関連させて容易に達成可能な試験項目のため、達成度の評価には影響しないと考えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度で実施されなかった試験項目は、本年度の計画を行う過程でその結果を得られるため、大きな計画変更をする必要は無い。その他の当初計画は、初年度に十分な成果が得られたため問題なく推進可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度では吸着材の溶質吸着量の測定、脱着実験、HT吸着能再生実験、プラント実験を行うため、各項目で使用する水質分析用試薬(400千円)、吸着材購入費(200千円)、メンブレンフィルター(50千円)、プラント実験用水槽(200千円)などを購入する予定である。また、プラント実験用として定量ポンプ(300千円)を設備備品として購入する。次年度使用額(4,667円)は消耗品の購入に当てる予定である。 旅費は、インドネシアで開催される国際学会、国内学会などへ参加費用(450千円)である。
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