研究課題/領域番号 |
23560646
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
荒木 宏之 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 教授 (70117315)
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研究分担者 |
三島 悠一郎 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 研究機関研究員 (90612664)
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キーワード | リン回収 / ハイドロタルサイト / NLDH / ゼオライト / HT/Zeリン回収法 |
研究概要 |
ハイドロタルサイト様化合物(HT)の一種であるナノサイズ無機層状複水酸化物(NLDH)の吸着能再生方法並びに繰り返し吸・脱着試験について検討を行うとともに、実廃水を用いたゼオライト(Ze)とNLDHを併用したHT/Zeリン回収法のミニプラント試験を行った。 既往のリン酸脱着処理後におけるHTの吸着能再生処理で用いらているMgCl2再生液をNLDHの再生処理でも用いた。しかしHTの様に有効な再生率が得られなかったため、新たな再生方法としてNaCl-HCl水溶液を用いた試験を行った。種々のNaCl濃度とpH条件を組み合わせた再生液にNLDHを浸したところ、再生効率が最も高くなったNaCl=5mol/L、pH=3程度の再生液がNLDHの再生処理に適していることが分かった。 NLDHにリン酸を吸・脱着させた後に前述の再生方法で吸着能を再生するという一連の処理を繰り返して、吸着回数毎のリン酸吸着量の変化を測定することでNLDHの繰り返し使用に関して検討した。NLDHのリン酸吸着量は吸着回数の進行とともに徐々に低下し、4回目には初期吸着量の60%になった。これはHTよりも若干ではあるものの高い値である。しかし、5回目に急激な吸着量低下が発生した。繰り返し利用による吸着材の長寿命化はコスト低減に重要であることから、更なる検討が必要である。 ミニプラント試験ではZeを充填したカラムには生下水を、NLDHを充填したカラムには生下水または下水処理水を通水させて、廃水中のアンモニアとリン酸をそれぞれ吸着させた。Zeのアンモニア吸着量は飽和吸着量に対して50%程度で、NLDHのリン酸吸着量は7~10%になった。これは廃水中のNa+や炭酸や硫酸の影響によるものである。理論値と比較して実際の吸着量は低下したものの、本法の原理上、必要な量のアンモニアとリン酸を脱着処理において回収できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度では吸着材の吸着特性の解明を行い、ミニプラント試験も実施して知見が得られているので、計画通りに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ミニプラント試験では一つの実験期間が長いので、知見は得られているもののその量は充分ではない。本年度も引き続き実験を行い、データの収集を行う。また、それらのデータを整理するために当初の計画に示した吸着機構の数値モデルを作成するとともに、本リン回収法の運用について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に引き続き、ミニプラント実験を行うのでその実験で必要なNaCl、MgCl2、HCl、NaOHなどの薬品類(300千円)、水質分析用試薬(100千円)を購入する予定である。 その他は、研究成果を適宜取りまとめて学会へ投稿するので、その投稿料や参加費、旅費(100千円)に当てる予定である。
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