研究課題/領域番号 |
23560649
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
中川 直子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任准教授 (70452034)
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研究分担者 |
河村 明 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10177735)
天口 英雄 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (40326012)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境負荷削減 / 環境低負荷型トイレ / 資源循環 / 大震災 / 尿分離 / 感染リスク / 複合災害 / 洪水 |
研究概要 |
シミュレーションのための基礎データの構築と洗浄水循環型尿分離トイレの試作を行った.詳細を以下に述べる. 開発した洗浄水循環型尿分離トイレを高速道路サービスエリア,パーキングエリアに設置することを想定したシミュレーションを行うための資料収集・整理をし,各サービスエリア,パーキングエリアの既往調査資料による施設利用の経年推移,年間の利用状況を把握した.また,エネルギーや水道水消費状況に関して,エネルギー,水道水消費の経年推移,年間の変動も把握した.さらに,汚水処理施設(浄化槽)の設計図書,汚水処理実績,美野里PA浄化槽施設の構造と処理性能も把握した.各SA,PAのし尿の排出量,雑排水と併せた汚水の排出量,及び排出汚濁負荷量の年間の変動パターンも把握した.そして,開発した洗浄水循環型尿分離トイレなど,環境低負荷型トイレを導入した場合にどの程度の水消費量,エネルギー消費量,汚濁負荷量削減が可能になるのか,シミュレーションを行った.また,コストの面から見て,環境低負荷型トイレ導入コストが導入後の水消費量,エネルギー消費量削減などによるランニングコスト削減によって,どの程度の期間で回収できるのかといったシミュレーションも行った.さらに,本システムを導入した場合のLCA(ライフサイクルアセスメント)を行い,既存のシステムと提案した「資源循環・低エミッション型排水処理システム」とで,製造過程から廃棄に至るまで,エネルギー的にどれだけのエネルギー負荷排出をしているかの比較も行い,本システムの導入効果の予測を行った. 尿の回収率を高めるには,どのような構造,方式がよいのかを検討し,洗浄水循環型尿分離大便器を試作に着手した.そして,どの程度人尿が回収できるのかを評価するための実験システムを作った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
尿の回収率を高めるには,どのような構造,方式がよいのかを検討し,洗浄水循環型尿分離大便器の試作に着手したところ,尿分離の際に尿石がたまり尿管詰まりの問題が発生することに気づいた.そこで,循環させる洗浄水に尿石防止剤を注入し,尿石を発生させないようにすることができた.この新たな方式に関しては,特許申請も行うことができた.さらに23年度はこの尿分離システムを試作するのみで,実験は24年度に行う予定だったが,システムの試作を早く行うことができたため,23年度中に実験も既に行うことができたため. また,シミュレーションに必要な,高速道路サービスエリア,パーキングエリアに関する各種データを入手することができ,実情を把握することができ,本システムの導入効果の予測を行うためのシミュレーションを迅速に行うことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
24年度は23年度に得られた結果を基にして,尿分離の実験システムを作った後に,試作した洗浄水循環型尿分離トイレを用いて尿分離の実験を行うことを計画していたが.実験は既に終了したので,実験結果に基づいて,問題点を洗い出し,さらに検討・改良を加える. シミュレーションに関しては,本システムの導入効果のみならず,大震災後に避難所等に設置することも想定し,衛生学的に問題はないか,病原菌感染リスクについてのシミュレーションも行う.また,高速道路のサービスエリア,パーキングエリアなどで実際に試作したトイレを設置して実証実験ができないか検討をしたが,費用面で折り合いがつかなかったため,分離した尿の利活用方法について調査し,例えば尿を液肥として使用した場合の実験を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
尿分離システム試作費など大部分の研究費は初年度において計上し,既に使用させていただいているため,次年度では,残りの予算で分離した尿の利活用方法についての実験を行ったり,土木学会論文集,水工学論文集,水文・水資源学会誌などでの論文発表や学会での講演発表のために研究費を使用することを予定している.
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