研究課題/領域番号 |
23560649
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
中川 直子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任准教授 (70452034)
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研究分担者 |
河村 明 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10177735)
天口 英雄 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (40326012)
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キーワード | 環境負荷削減 / 環境低負荷型トイレ / 資源循環 / 大震災 / 複合災害 / 洪水 / 感染リスク / 尿分離 |
研究概要 |
24年度では,23年度に試作した洗浄水循環型尿分離実験システムを用いて,人尿がどの程度回収できるかという実験を行った結果,ほぼ100%の回収率であることがわかった.しかし,大便を一緒に排出する場合は,制御が難しいという問題点が新たに見つかった.本システムでは時間による自動洗浄制御を行っているが,大便を排出する場合,小便と大便の排出のタイムラグには個人差があるため,これ以上の自動制御は難しいと考えられた. そこで新たに自己選択型トイレという方式を考案した.これはトイレにボタンを設けて使用者が排出に大便を含むか否かを選択できるようにしたトイレシステムである.この発案に関しては特許出願を行った. また,分離した尿の利活用について調査し,原尿で大根や小松菜を栽培し,水のみを与えた場合との比較を行った.原尿を液肥として用いる場合,アンモニアが影響すると作物が枯れやすいという傾向があるという知見を得た. シミュレーションに関しては,本システムの導入効果のみならず,大震災時,特に大地震の起こった後に洪水に見舞われるような,複合災害時にこのシステムの衛生学的な状況はどうなるのかという病原菌感染リスクに関してのシミュレーションを新たに行った.洪水が起こり,トイレ内の汚物が流出するような事態では感染リスクが非常に高くなることがわかった.通常では衛生的な我が国の都市部においても,コレラ菌など,普段見られないような病原菌が流行するおそれがあることも示唆された.このような状況を回避するためには,トイレ内の汚物が流出しないようなシステムが必要である.これらの結果に関しては水文・水資源学会および国際学会で発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度では,23年度に得られた実験結果を基にして,問題点を洗い出し,自己選択型トイレという新たな方式を考案し,本研究課題中に二回目の特許出願を行うことができたため. 分離した尿の利活用について調査し,原尿で大根や小松菜を栽培した他,シミュレーションに関しても,その成果を水文・水資源学会および国際学会で発表を行うことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
24年度に新たに考案し,特許出願した自己選択型トイレに関しては,試作を行いたいと考えている.しかし,25年度は最終年度でもあるため,論文作成や学会発表など,今までの研究成果発表にも注力していこうと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度からの繰越金は,24年度にメーカーに委託した実験に対する支払い金額が,メーカーとの交渉の結果,予想していた額よりも安くなったため生じた. 25年度の研究費の使用計画に関しては,24年度に新たに考案し,特許出願を行った自己選択型トイレの試作を行いたいので,そのために使用したい.また,25年度は最終年度でもあるため,今までの研究成果発表のための費用,例えば学会参加費や渡航費,英語論文の校閲料や,パソコンなど研究遂行のための環境整備に充てたいと考えている.
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