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2012 年度 実施状況報告書

磁性活性炭を使った磁気分離による新しい浄水処理技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560650
研究機関首都大学東京

研究代表者

三浦 大介  首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (50281241)

キーワード磁性吸着材 / 磁気分離
研究概要

①磁気分離のシミュレーション解析として有限要素法流体・電磁場解析汎用ソフトと運動方程式をオイラー法で差分解析したC言語による連成プログラムを作製し、流れ場のある磁場中に置かれた磁性線に捕獲される磁性粒子軌道のシミュレーション解析を実施、磁気分離実験との対応を検討した。②産業排水中の高濃度リンの除去と回収として産業排水中の高濃度リンの除去と回収実験を行った。その結果500mg/Lの高濃度リン排水においてもジルコニウムフェライト吸着材の有効性が確認され、投入量20g/Lで90%以上、30g/Lでほぼ100%の除去率が達成された。磁気分離処理においては新たに吸着・脱離・分離槽一体型の高勾配磁気分離システムを考案し、その実用化検討を行った。③磁性活性炭による難分解性有機物とアンモニア態窒素の除去としてアンモニア態窒素吸着用磁性活性炭(OxMAC)はCO2賦活熱処理を行ったヤシ殻活性炭に表面酸化処理による酸性官能基装飾と共沈法により作製したナノマグネタイトを物理吸着させることより作製した。最大約0.6emu/gの坦磁に成功し、アンモニア態窒素希釈液0.8ppmに対して6割以上の吸着性能が得られた。さらにフミン酸とアンモニア態窒素は大気中・300℃程度の熱処理で簡単に脱離でき、吸着剤を再利用可能であった。④溶液中からの水銀磁気分離除去として水銀吸着材としてより効果的で選択性を持つSH基を装飾したSH-MACを新開発した。SH-MACはナノマグナタイトを物理吸着し坦磁を行った。メチル水銀溶液5mg/Lに対し、吸着剤1g/L吸着実験で95%以上の高い水銀除去率を示した。⑤セシウムイオン除去としてナノプルシアンブルーをメソポーラスMACに物理吸着させ、セシウムの磁気分離除去実験を行った。その結果、プルシアンブルー吸着量は30.86mg/g、Cs+ 吸着量は21.53mg/g を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績で示したように先ずはオリジナルな磁性活性炭をベースにした新規磁性吸着材の開発を鋭意進行中であることがあげられる。その方法として被吸着物質の吸着効率や選択性のために、①細孔サイズのコントロールと物理吸着②表面官能基装飾を行い、メソポーラスMAC、酸性官能基装飾(Ox-MAC)、SH基装飾(SH-MAC)などの吸着材を新たに開発中である。
また、担磁に関しては硝酸鉄水溶液含浸+熱処理の化学的手法によるナノマグネタイト生成と共沈法によるナノマグネタイト物理吸着法を使い分け、磁化のコントロールと増大を図り、前者の化学的手法に関しては十分な但磁量の達成がはかられている。
さらに本吸着材の新展開として、東日本大震災による原発事故の放射能汚染対策として、ナノプルシアンブルーをメソポーラスMACに物理吸着させ、セシウムの磁気分離除去実験に着手している点も特徴的である。現在、プルシアンブルー吸着量は30.86mg/g、Cs+ 吸着量は21.53mg/g であるが今後さらに吸着量の増大や効率化、磁気分離システムの検討を行う予定である。
一方、磁気分離システム設計に関しては有限要素法を用いた流体・電磁場解析汎用ソフトと運動方程式をオイラー法で差分解析したC言語による連成プログラムを新たに作製し、流れ場のある磁場中に置かれた磁性線に捕獲される磁性粒子軌道のシミュレーション解析を実施、磁気分離実験との対応を検討している点があげられる。以上のような成果を踏まえ、研究課題とした「磁性活性炭を使った磁気分離による新しい浄水処理技術の開発」の研究は概ね順調に進展していると自負している。

今後の研究の推進方策

最終年度である本年は、以下の課題解決に力を注ぐ。
①上水処理における磁性活性炭と高勾配磁気分離システムの確立に関してはアンモニア態窒素の吸着量の向上とカビ臭物質、界面活性剤の吸着量の確認(活性炭によく吸着する)を行い、磁性活性炭と高勾配磁気分離による省エネ低エミッション上水処理システムの確立目指す。②環境浄化応用としてナノプルシアンブルーをメソポーラスMACに物理吸着させた「プルシャンブルー担持MAC」によるセシウムイオンの吸着量増大と磁気分離システムの検討③磁気分離システム設計に関して有限要素法流体・電磁場解析汎用ソフトと運動方程式をオイラー法による連成プログラムを用い、流れ場のある磁場中に置かれた磁性線に捕獲される磁性粒子軌道のシミュレーション解析の確立を目指す。それらを総括して「磁性活性炭を使った磁気分離による新しい浄水処理技術」の適用分野を見極める。

次年度の研究費の使用計画

電磁・流体シミュレーションソフトのレンタル(25万)、学会参加費用(20万円)、試薬の購入
なお、24年度に予定していた消耗品が安価であったために残金が発生しており、これを今年度の消耗品用として繰り越すことと致しました。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 磁性吸着剤と高勾配磁気分離による浄水処理と資源回収2012

    • 著者名/発表者名
      三浦大介
    • 雑誌名

      日本磁気学会

      巻: 第184回研究会資料 ページ: 23-26

  • [学会発表] 磁性活性炭を用いた超伝導高勾配磁気分離による浄水処理2013

    • 著者名/発表者名
      緒方たかあき、三浦大介
    • 学会等名
      第47回水環境学会年会
    • 発表場所
      大阪工業大学
    • 年月日
      20130311-20130313
  • [学会発表] Mercury Removal From Solution By High Gradient Superconducting Magnetic Separation With Modified Magnetic Activated Carbon2012

    • 著者名/発表者名
      S. Tachibana, O. Miura
    • 学会等名
      Applied Superconductivity Conference
    • 発表場所
      Portland USA
    • 年月日
      20121007-20121012
  • [学会発表] Water Clarification by Superconducting Magnetic Separation with Modified Magnetic Activated Carbon2012

    • 著者名/発表者名
      O. Miura
    • 学会等名
      Applied Superconductivity Conference
    • 発表場所
      Portland USA
    • 年月日
      20121007-20121012
  • [学会発表] 磁性吸着剤と高勾配磁気分離による浄水処理と資源回収2012

    • 著者名/発表者名
      三浦大介
    • 学会等名
      日本磁気学会研究会
    • 発表場所
      中央大学駿河台記念館
    • 年月日
      20120525-20120525
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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