研究課題
本研究の目的は「低栄養で生育する酵母を用いてこれまで未利用な木質系バイオマスを分解して高効率に有用資源へと転換すること」である。本研究では保有酵母の馴致を行い、木質系バイオマスの分解能の向上を目指し、分解能力を最大限に発揮できる至適増殖条件の決定を行った。そして酵母が木質系バイオマスの分解に現実に利用可能か判断するために、試薬を用いたモデル実験だけでなく、実際の木質系バイオマスを用いた長期分解試験も行い、電子顕微鏡で分解前後の木質系バイオマスの状態変化を観察することで、形状による分解能への影響を明らかにした。平成23~24年度に行った、市販の試薬の難分解性物質を用いた分解の確認結果を基に平成25年度は実際の木質系バイオマスを用いた長期分解試験を行った。2種類の酵母菌を用い、試験管レベルで効率の良い分解条件の検討を行った。木質系バイオマスはソフトバイオマスであるワラ、ハードバイオマスであるスギ、ヒノキ、青森ヒバを使用して分解能を比較したところ、ソフトバイオマスのほうが分解しやすいことが明らかとなった。また、5 mm角程度の固形のままのものと粉末状態のものでは粉末にしたもののほうが高い分解能を示した。さらに、保有酵母と市販の清酒酵母で分解能を比較したところ、清酒酵母では木質系バイオマスの分解が見られなかったことから、木質系バイオマスの分解は保有菌株に特有の性質であることが確認できた。平成25年度に行った研究により、超低栄養条件下で生育する木質系バイオマス由来の難分解性有機物質分解酵母を活用し、木質系バイオマスを中心とする未利用バイオマスから効率良くタンパク質、ビタミン、ミネラル等の有用資源を微生物菌体のかたちで生産する技術の実用化に向けた大変意義のある成果を得ることができた。
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