研究概要 |
(1)鉄イオンと次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 フローセル型反応器を用いて異なる排水を対象に最適な処理条件を検討した結果,電流密度によって電流効率が大きく異なり,最適な電流効率は排水組成に依存することが明らかとなった。そこで,最適な処理条件を決定する手段として,酸化還元電位(ORP)の活用を試みた。その結果,ORPは電流密度に比較して排水組成への依存性が小さく,ORPを指標として処理条件を決定することで比較的容易に処理条件の最適化が図れることが明らかとなった。 (2)過酸化水素と次亜塩素酸を用いた電解促進酸化処理 本年度は昨年度までの成果を踏まえ,フローセル型水処理装置を試作し,その性能および運転操作条件を検討した。その結果,電解条件としては,アノードは高電流密度,カソードは低電流密度が効果的であり,過酸化水素を生成するカソード反応の電流効率は空気よりもPSA装置による酸素ガス供給により促進されることが判った。両電極の至適電流密度が異なることから,アノード電極面にカバーシートを装着し,アノード面積をカソード面積より小さくする改良を行った。その結果,アノード面積を変化させることにより過酸化水素生成電流効率が63%となる電解条件において次亜塩素酸生成電流効率は27%から56%まで向上させることが可能となった。ただし,1,4-ジオキサン分解の見かけ電流効率は最大11%と低い値に留まったことから,生成した過酸化水素と次亜塩素酸の反応効率が低いことが実用上の課題として残った。
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