研究課題/領域番号 |
23560659
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
土屋 勉 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20163834)
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キーワード | 杭 / 支持力係数 / 中間層 / 模型実験 / 可視化 |
研究概要 |
近年,環境負荷の軽減と社会資本整備の効率化が社会的な課題となっており,建築基礎構造においても材料,掘削土量,コスト等の縮減が求められている.本研究は,建築基礎工事における環境負荷の軽減とコスト縮減を諮るために,これまで等閑視されてきた比較的密な中間層の活用の可能性に着目して,施工法の異なる3種類(回転貫入杭,圧入杭,埋込み杭)の支持力評価法を構築することを目的とする.平成24年度に実施した研究を以下に示す. 1)回転貫入杭の支持力評価法の構築 当研究室でこれまで実施した大型加圧土槽における回転貫入杭の鉛直載荷実験結果を整理して,支持力発現状況の異なる杭先端面と羽根面の支持力係数を誘導し,中間層や支持層への根入れを考慮した合理的な新しい支持力評価法を提案した. 2)埋込み杭と圧入杭の周辺地盤の可視化 中間層地盤に支持された埋込み杭と圧入杭の杭周辺地盤の可視化実験を行い,杭先端部に形成される紡錘状の高密度領域とそれに接するせん断ひずみの進展を確認すると共に,杭周面の粗滑によるせん断ひずみ領域の進展状況の相違を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)大型加圧土槽における回転貫入杭の鉛直載荷実験結果を整理して,中間層や支持層への根入れを考慮した支持力評価法を構築して,原位置の載荷試験結果との比較からその適用性を検証した.この評価法は平成25年3月の学位論文(回転貫入杭における先端部の支持力評価法に関する研究)にまとめられた. 2)PIV画像解析による可視化実験によって,載荷の進行に伴い砂粒子挙動は杭先端下部に限定され,中間層の有無によって紡錘状の高密度領域(コア)の形成が異なることを確認できた.これらの成果は著者らが構築した既往の支持力実験式の妥当性を裏付けるものである.
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今後の研究の推進方策 |
1)回転貫入杭の支持力評価法 中間層厚と拘束圧の影響に関する回転貫入杭の施工実験と支持力実験に基づいて,平成24年度に回転貫入杭の支持力評価法を構築したので,鉛直支持力に関しては終了と考えている.今後は,引抜き挙動の解明に向けた研究へと発展させることが重要である. 2)埋込み杭や圧入杭の支持力評価法 平成24年度までのPIV画像解析による研究によって,埋込み杭や圧入杭のコアの存在が明確になった.そこで,中間層を作製した大型加圧土槽で杭の載荷実験を実施して,著者らが三軸加圧土槽実験に基づいて導いた支持力算定式の妥当性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
主な研究費は,砂試料や歪ゲージ類等の物品,成果発表のための学会参加旅費である.
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