近年,環境負荷の軽減と社会資本整備の効率化が社会的な課題となっており,建築基礎構造においても材料,掘削土量,コスト等の縮減が求められている.本研究は,建築基礎工事における環境負荷の軽減とコスト縮減を諮るために,これまで等閑視されてきた比較的密な中間層の活用の可能性に着目して,施工法の異なる3種類(回転貫入杭,圧入杭,埋込み杭)の支持力評価法を構築することを目的とする.平成23-25年度に実施した研究実績を以下に示す. 1)回転貫入杭の押込み支持力評価法の構築:当研究室でこれまで実施した大型加圧土槽における回転貫入杭の鉛直載荷実験結果を整理して,支持力発現状況の異なる杭先端面と羽根面の支持力係数を誘導し,中間層や支持層への根入れを考慮した合理的な新しい支持力評価法を提案した. 2)半円筒土槽における杭周辺地盤の可視化:中間層地盤に支持された鉛直荷重を受ける杭周辺地盤のPIV可視化実験を行った.埋込み荷重を受ける直杭では,杭先端部に形成される紡錘状の高密度領域とそれに接するせん断ひずみの進展を確認すると共に,杭周面の粗滑によるせん断ひずみ領域の進展状況の相違を明らかにした.引抜き荷重を受ける羽根付き杭では,最大荷重時および残留荷重時に対応した羽根端部から上方外側および上方内側への2種類の滑り線の進展を確認した. 3)回転貫入杭の引抜き抵抗力特性の解明:回転貫入杭の杭体各部(杭周面,羽根面,杭先端面)において,それぞれ異なる引抜き抵抗力特性を示す.杭先端面の引抜き抵抗力は,回転貫入杭の施工に伴う残留応力の解放に起因する現象であることを確認した.
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