この研究課題の主題である非滑力学 (nonsmooth mechanics) とは,構造物のさまざまな非線形現象のうち,とくに複数のフェーズをもつ現象を,近似や試行錯誤に頼ることなく解析するための強力な方法論である.非滑力学の諸手法は,数理的には,最適化の理論・解法と密接な関係がある.この研究課題では,構造物にまつわる種々の力学的挙動や設計問題を改めて整理し,非滑力学の観点からそれらを捉え直すことにより,より適切な定式化と頑健な数値解法を開発することにある. 平成26年度は,前年度までに構築した諸手法のさらなる展開として,熱膨張率が負の周期的な骨組構造を設計する数理手法を開発した.その手法の要諦は,前年度までに開発した,連続と離散のハイブリッド定式化による設計問題の記述にある.これにより,設計者の経験や勘の蓄積がない設計問題を,数理的に解く手法が構築されたことになる.
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