研究課題/領域番号 |
23560669
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飛田 潤 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (90217521)
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研究分担者 |
福和 伸夫 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (20238520)
護 雅史 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (40447842)
小島 宏章 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (40402557)
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キーワード | 地震観測 / 強震計 / 震度計 / 地震応答 / 構造ヘルスモニタリング / 地盤震動 / 防災教育 / ウェブGIS |
研究概要 |
本研究では、強震観測のいっそうの普及と観測データの蓄積・活用に向けて、一般市民や技術者と連携した新たな強震観測体制「Pネット」について検討を進めている。昨年度は観測機材、データ蓄積・転送、データベースシステムなどの基礎的検討を行っており、本年度はそれを受けて実際的な運用テストに基づく問題点の把握と改良を主に行った。 名古屋市内の高校において、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の活動と連携した観測を継続しており、昨年度から今年度にかけて多数の観測記録が得られている。高校教員・生徒とともに分析を行い、地震による建物応答特性の差や、校舎の建てかえ・耐震補強に伴う振動特性の変化などの成果を出し、同時に高校教育における強震観測の活用について検討を行った。そのほかに本システムで観測を行っている複数の建物についてデータ蓄積・分析を加え、システムの改良に結び付けている。 簡易な観測のための機材について、携帯情報端末に内蔵されている加速度センサの活用を検討し、データ転送まで含めて一体で対応できる可能性を得ている。またウェブGISを基礎とするデータベースに関しては、建物・地盤情報や地域情報の蓄積を進めている。 観測結果を被災度判定等に活用するための検討として、観測記録から層間変形等の情報を評価する手法の検討を加えている。評価結果はセンサの精度や観測の質にも依存するため、従来の高精度観測システムの知見によらない検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画では、(1)実地運用テストを継続して改善点を探ること、(2)一般向け機能として、観測建物耐震性や地域防災に活用可能なシステムの可能性を探ること、の2点を挙げていた。上記の実績概要に示したように、(1)については高校を中心に運用を行い成果を挙げていること、またより簡易な観測の希望を踏まえて携帯端末の活用などが進んでいる。(2)については、建物の被災度判定に向けた指標の可能性や精度の検討をお行ない、また多様な地域情報の相互運用環境の開発が進んでいる。以上から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
主に以下の諸点の検討を行い、新た強震観測体制の基盤を確立する。 (1)これまで観測を行ってきた建物で、利用状況および観測成果をまとめて、システムの評価を行う。特に、今後、比較的長期にわたる安定運用を行いうるかの検討が重要となる。 (2)情報活用に関して、一般向けには平常時の建物モニタリング、災害時の被災状況確認、地域防災状況の評価など、技術者向けには観測データの蓄積・整理環境の提供などを目標として、実際的なシステムを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
観測システムやデータ分析のための関連物品や消耗品の購入、観測状況のヒアリングや情報収集のための国内旅費、ソフトウェア開発などに使用する。
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