研究課題/領域番号 |
23560672
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤谷 秀雄 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10344011)
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研究分担者 |
向井 洋一 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70252616)
佐藤 栄児 独立行政法人防災科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (60343761)
伊藤 麻衣 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90647421)
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キーワード | 免震構造 / パルス性地震動 / 長周期地震動 / 変位制御 / 加速度抑制 |
研究概要 |
本研究は、免震構造の床応答加速度を上昇させないで、応答変位を低減する制御方法によって、パルス性地震動と長周期地震動のいずれに対しても適用可能な制御を行うことを目的としてきた。 初年度および2年度目の研究の結果、回転慣性質量によって床応答加速度を低減し、必要に応じて粘性減衰を付加することで応答変異も低減できることが期待できた。そこで磁気粘性流体(MR流体)を用いて粘性を可変にできる回転慣性質量ダンパー(MR回転慣性質量ダンパー)を製作し、解析およびリアルタイムハイブリッド実験によって、パルス性地震動および長周期地震動に対する免震構造の制御効果を検証した。 まず固有周期4秒の免震構造物モデルを対象として、周波数領域における伝達関数および地震動に対する時刻歴応答の観点から検討を行った。周波数領域における伝達関数から、回転慣性の質量比を適切に設定することにより、減衰を大きくするよりも加速度伝達率および変位伝達率をともに小さくできる領域があることを示したが、質量比と減衰比を調整することにはトレードオフ関係があり、それはパッシブ制御のみでは解消できないことが明らかになった。そこでセミアクティブ制御を行うことにより、適切な質量比および減衰比を取ることにより、特に周期1~2秒程度に大きな振幅を持つようなパルス性地震動に対しては、床応答加速度を効果的に減少させることができた。また各種の入力地震動に対するセミアクティブ制御効果を確認したところ、最大床応答加速度を平均6%程度、最大応答変位を平均28%程度低減することができた。この結果より、MR回転慣性質量ダンパーを用いたセミアクティブ制御により、標準的な入力地震動の他、断層近傍のパルス性地震動や長周期地震動など建築基準法の水準を超える多様な地震動に対して、床応答加速度を抑制しながら、免震層の応答変位を低減できることを示した。
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