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2012 年度 実施状況報告書

円筒タンクにおける流体と容器の大変形連成場の数値解析と基本応答の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560677
研究機関鹿児島大学

研究代表者

皆川 洋一  鹿児島大学, 理工学研究科, 特任教授 (30128459)

キーワード円筒タンク / 非線形振動応答 / 分数調波振動応答 / 流体と容器
研究概要

研究課題は2次元のタンクと3次元の円筒タンクである。2次元のタンクは23年度の成果に基づき、論文をまとめた。全20頁の論文であり、公表する場を探すのが難しい。本学の研究報告で公表した。さらに、公表する機会を探す予定である。
円筒タンクは正弦波の外力振動数、および振幅をパラメータとする数値解析を行っている。出力データが大きくなり、OSは64ビットに切り替えて、計算している。10000ステップ、100秒の応答を1度計算するのに20万秒のCPU時間がかかり、計算に苦慮している。最新のパソコンを利用しても、3日の時間がかかっている。
得られた成果を箇条書きにする。
(1)円筒シェルを解析する有限要素法の精度確保に苦労している。しかし、スロッシング振動に及ぼす容器の剛性の影響は大きくないが、容器の振動に与える流体の影響は小さくない。2次元の場合にも観察された特性が円筒タンクでも確認された。
(2)ある外力振動数、および振幅の下で、容器に分数調波振動が分岐して、強烈な応答に成長する不安定領域が存在する。この領域で、1/2分数調波振動、和型の分数調波振動応答が発生する。1/3分数調波振動が生起する領域が出現した。この振動は2次元タンクでは発生を確認できなかった。しかしながら、1/3分数調波振動応答は、円筒タンクモデルの振動実験で発生することは確認していた。他の分数調波振動は2次元モデルにおいて生起している。
(3)現実に利用されている3万kLのタンクをモデルとして、分数調波振動応答が生起する不安定領域とその応答を解明している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

27年前著者が提案したポテンシャル流体と容器の連成問題の汎関数へ、遷移座標系を導入した直接法を利用して、解析できることが実証されている。
2次元モデルの解析は、この問題の定式化を確かめるために必要な過程であった。実際に、数値解析すると、分数調波振動応答を含む系の非線形振動応答が解析でき、この応答が出現するメカニズムにおける、対称モードと逆対称モードの振動モードの相違を明らかにすることが出来た。
円筒タンクにおける非線形振動応答(1/2分数調波振動、1/3分数調波振動、和型の分数調波振動)が解析できることも判った。数値計算に時間、否期間が必要となるが、円筒タンクにおける流体と容器の連成に伴う非線形振動応答を数値解析を利用して算定する初期の目的は達成できる。しかしながら、最新のパソコンを利用しても膨大な計算時間が必要となることは予想出来なかった。

今後の研究の推進方策

現実に利用されている円筒タンクの非線形振動応答特性を明らかにしたい。限られた期間であるが、これは達成できる。また、利用している解法は、地震時の応答解析にも直ちに利用できる。
円筒タンクの応答解析ではスロッシング振動の大波高の問題が検討されているが、容器の非線形振動応答はまだ検討されていない分野である。処理速度が大きなパソコンを入手し、検討する現象も広げたい。容器の固有周期は0.15秒程度であり、スロッシング振動の固有周期は数秒である。この系の時間積分を達成するには処理速度の大きな計算機が必要となる。

次年度の研究費の使用計画

円筒タンクの容器に分岐する非線形振動応答の不安定領域、典型的な非線形振動応答を明らかにする。
パソコンの処理能力の改善が予想より遅いが、新しい計算機を購入したい。
間違いなくパイオニアワークを実施しているので、比較に利用できる既往の研究成果は著者の知る限り存在しないのであるが、日本の学術雑誌では解の検証が出来ないと査読が難しいとの意見が示される。ユニークな研究を認めない傾向は、一般社会のみならず、学術研究の上でも見受けられる。
科研費の報告書は自由に記述できるので、現象を明らかにするデータを作成する。比較検討する既存の資料は無いので、後世の研究のベンチマークとなる精度のデータを作成し、分析を行なう。
備品より処理能力が高いPCが発売されるのを待って、購入する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Dynamic Interactive Behavior between a Potenshal Fluid and Elastic Container in Large Deformations2013

    • 著者名/発表者名
      皆川洋一
    • 雑誌名

      日本建築学会論文集

      巻: 78 ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 二次元の自由表面を持つポテンシャル流体と弾性容器との連成問題の数値解析2012

    • 著者名/発表者名
      皆川洋一
    • 雑誌名

      鹿児島大学工学部研究報告

      巻: 54号 ページ: 7-25

  • [学会発表] 自由表面を持つポテンシャル流体と弾性容器との連成問題の数値解析2013

    • 著者名/発表者名
      皆川洋一
    • 学会等名
      計算工学講演会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20130619-20130621
  • [学会発表] 平板曲げ四角形要素、および円筒シェル4節点要素の高精度化2013

    • 著者名/発表者名
      皆川洋一
    • 学会等名
      日本建築学会九州支部
    • 発表場所
      大分大学
    • 年月日
      20130303-20130303
  • [学会発表] 自由表面を持つポテンシャル流体と弾性容器との大変形連成問題の解析 ,円筒タンクの分数調波応答の解析2013

    • 著者名/発表者名
      皆川洋一
    • 学会等名
      日本建築学会九州支部
    • 発表場所
      大分大学
    • 年月日
      20130303-20130303
  • [学会発表] 自由表面を持つポテンシャル流体と弾性容器との動的連成問題の解析-二次元容器における非線形振動応答2012

    • 著者名/発表者名
      皆川洋一
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20120912-20120914

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公開日: 2014-07-24  

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