研究課題
(1)流体を内蔵するタンクに、地動が作用すると、流体の波高と容器の変形が練成する挙動が生起する。波高、および容器の変形が共に微小と仮定した問題の線形理論は確立されてた。しかしながら、実験的な研究では、この理論では予測できない未解明の応答が生起することが報告されている。代表者はこの応答を波高と容器の大変形に起因する非線形振動挙動であるとして、応答実験、および理論的研究を継続して来た。この連成問題の波高、および容器の大変形場での挙動を支配する汎関数を示した。流体はEuler表示され、容器は通常Lagrange表示され、境界での運動学的な整合性を確保することに困難があった。(2)流体に参照座標系を導入し、この困難さを克服した有限要素法を適用する方法を示し、前述した汎関数を離散化する解析手法を提案した。この手法を2次元のタンクに適用して、正弦波の地動の下で解析し、1/2分数調波振動、および和型の分数調波振動が分岐することを示した。(3)この手法を3次元の円筒タンク(モデルは4万キロリットルの円筒タンク)へも適用した。正弦波の地動(振動数と地動加速度をパラメータとする)を作用させた解析を行い、1/2分数調波振動応答、1/3分数調波振動等、様々な振動応答、および容器である円筒シェルの変位、および応答を示した。モデルは二つある。ひとつは周方向に16等分するメッシュであり、離散系の未知数は1385個である。他方はこの方向に24等分するメッシュであり、未知数2265個である。前者を用いて、パラメータに関する大域的な挙動、分数調波振動応答が分岐する不安定領域を定めた。(4)連立一次方程式の解法に工夫を加え、後者のモデルを解析し、より高い精度の解析を行い、応答の相違、および分数調波振動応答が分岐する不安定領域を定めた。(5)提案した解法は地震外力の下での応答解析にも適用できるので、課題である。
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日本建築学会構造系論文集
巻: VOL.79,No.700(掲載決定) ページ: 781-790
巻: VOL.78,No.690 ページ: 1439-1448
鹿児島大学工学部研究報告
巻: 55 ページ: 29~50