研究課題/領域番号 |
23560681
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
西村 功 東京都市大学, 工学部, 教授 (60328929)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 免震構造 |
研究概要 |
平成23年度の研究計画では、部分免震構造の実用化に必要な積層ゴム支承の解析検討を行い、試験体の形状をスタディーする計画となっていた。解析検討計画の概要を示す。(1)部分免震構造を高層の鋼構造ラーメン構造に適応した場合のパラメータスタディを行い、必要な減衰性能、剛性、変形能力、鉛直荷重支持能力などについて検討を行う。次に、応答せん断力の低減効果、応答変形の低減効を、従来の耐震構造システムと比較した際の耐震性能向上を数量的に把握すること。(2)幾何学的非線形理論に基づく、座屈理論モデルに基づき、必要性能を満足する積層ゴム支承の試設計を行うこと。平成23年度は、計画通りほぼ目標の性能を満足する形状の積層ゴム支承を確定した。具体的には、目標性能を満足する積層ゴム支承の形状として、直径600mm、高さ700mm、中空断面を有し、鉛を封入した状態で弾塑性の復元力特性を有するものと決定した。この事前解析の結果を基に、実験用試験体を製作し静的加力実験を計画している。常時の鉛直支持荷重は250トンを予定しており、プロトタイプ試験体の座屈荷重は750トンと予想されている。解析では250トンの鉛直荷重を加えた状態で、水平変形能力±600mmの繰り返し水平加力に耐えられるものと推定されている。この結果は、部分免震構造を実現する部材として十分な性能を有している。また、解析検討結果を基に試験体を計画しており、実験の準備も順調に進んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に向けた試験体の解析を実施した。現在までに、試験体の形状をほぼ確定し、平成24年度の実験に向けた準備はほぼ終了しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、部分免震構造に適したプロトタイプ積層ゴム支承を実験によって確認することになっていた。本実験には3体の試験体を用意し、解析研究で予想された性能を実験で確認する予定である。 震災の影響を考慮して、通常の免震構造にも使用可能で、かつ高性能な積層ゴム支承としての性能も併せ持つプロトタイプ積層ゴムの解析が終了後、実験を実施し、当初の目標を達成する予定である。 実験結果により、プロトタイプ積層ゴム支承を実用化する方向性が確認できれば、広く研究成果を製造メーカに開示し、実用化に向けた技術移転のプロセスに進む予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度(平成23年度)は、メーカとの打ち合わせ、解析研究などの研究を使用する予定であったが、メーカの選定をせず、解析研究のみを実施したため、実際の支出はなかった。 次年度(平成24年度)は、昨年度使用予定であった試験体の製作、製作のための打ち合わせ費用(旅費、出張費用)ならびに試験装置の改良などが発生するため、本年度未使用額 ¥700,000および平成24年度予算¥2900,000の合計¥3600,000を使用する予定であ。
|