研究課題/領域番号 |
23560687
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
玉井 宏章 広島工業大学, 工学部, 准教授 (80207224)
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研究分担者 |
高松 隆夫 広島工業大学, 工学部, 教授 (10125148)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 建築構造・材料 / 分散型実験 / 統合化評価法 / せん断パネル / 修正OS法 |
研究概要 |
実大規模の建物や構造物の弾塑性振動実験を,大型振動台実験と比較して安価に実施する方法として「分散型実験システムを用いた統合化評価法」を申請者等は構築している。一方,府省連携プロジェクトとして震度7でも弾性挙動して無損傷となりうる高強度鋼乾式組立梁柱材が多くの研究者により開発された.本研究は、この「統合化評価法」を適用する対象として,高強度鋼乾式組立架構とせん断パネルダンパー,ノンスリップ露出柱脚,セルフセンタリング接合部という著者らが開発した新構造システムを駆使した制振建物を提案して,地震時無損傷制振設計の可能性を探ることを研究目的とする.統合化実験とは、インターネットを介して、大規模有限要素法解析と実験装置を結合して建物全体の挙動をシュミュレーションする実験である。前年度までの予算で、部分構造物の加力装置を整備した。本年度では、大きな2軸曲げを受けるせん断パネルダンパーの特性を調べるため、これを間柱に取り付けた場合を想定して本装置で加力試験を行った。 大規模有限要素解析プログラムによれば、2軸曲げを受ける乾式組立材の曲げねじり座屈を伴う非線形挙動がシミュレーション可能であるが、大きな計算時間と主記憶(メモリー)が必要となる。本研究グループでは、MARCという汎用有限要素プログラムを動かすワークステーションを4ライセンス所有している。これを利用して、高強度組立材の非線形挙動の激しい柱の曲げねじり座屈挙動解析に充てて、システムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験実施場所が一部変更となり,統合化評価のための実験装置を再構築する必要がでてきたため,研究はやや遅れているが,今後挽回すべく,研究を推し進めている.
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今後の研究の推進方策 |
せん断パネルダンパー単体の多軸応力下における塑性変形性能評価これまでのせん断ダンパー単体の載荷試験によって,せん断パネルの耐力評価式やせん断座屈を防止する形状(幅厚比)を提案している.これに加えて、パネル面内方向に対して45度傾いた方向に載荷する2軸繰り返し載荷試験を行う。これによって,制振設計で必要となるダンパーの累積塑性変形性能やエネルギー吸収性能をチェックする性能評価式を提案する.これらの実験的研究は高松が,性能評価式策定は玉井があたる予定でいる.
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次年度の研究費の使用計画 |
申請代表者である玉井が長崎大学に転任したことに伴って,せん断パネルダンパーの加力実験装置の移設を行う.また,新規の試験体を製作し,建物全体の設計事例にあわせた統合化解析を行う.経費の多くは,移設に伴う経費と試験体作成費に充てる.また構造計算機関連については,九州大学の情報システム部の全国共同利用の高性能アプリケーションサーバーSR16000を利用するので,その利用費にも充てられる.
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