研究概要 |
実大規模の建物や構造物の弾塑性振動実験を,大型振動台実験と比較して安価に実施する方法として「分散型実験システムを用いた統合化評価法」を申請者等は構築している。一方,府省連携プロジェクトとして震度7でも弾性挙動して無損傷となりうる高強度鋼乾式組立梁柱材が多くの研究者により開発された.本研究は、この「統合化評価法」を適用する対象として,高強度鋼乾式組立架構とせん断パネルダンパー,ノンスリップ露出柱脚,セルフセンタリング接合部という著者らが開発した新構造システムを駆使した制振建物を提案して,地震時無損傷制振設計の可能性を探ることを研究目的とする. 2軸曲げを受けるせん断パネルダンパーの特性を調べるため,これを間柱に取り付けた場合を想定した加力試験装置を作成し,実験を行なった. せん断パネルについては設計式構築のためフランジの幅厚比制限,パネルの補剛条件を実験,解析により究明した. 乾式組立材の曲げ捩り座屈を伴う非線形挙動のシュミュレーションを行なう,汎用有限要素プログラムを,広島工業大学情報システムメディアセンター,九州大学情報基盤研究開発センター,長崎大学大学院工学研究科研究用電子計算機システムの機器を分散型解析のステーションとして活用し解析にあたった. 乾式組立材を架構に組み立てるための接合形式として充填ボルト接合を示し,その載荷挙動を上記ステーションを利用して,分散型の解析を実施し,実験値と比較してその有効性を示した.
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