研究課題/領域番号 |
23560695
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢野 隆 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30109673)
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研究分担者 |
西村 強 崇城大学, 情報学部, 教授 (90156109)
佐藤 哲身 北海学園大学, 工学部, 教授 (00106767)
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キーワード | ベトナム |
研究概要 |
2012年5月に矢野がフエを訪問し、フエ科学大学の研究者の協力を得て、道路交通騒音調査地区を7地区、鉄道騒音・振動調査地区を5地区選定した。2012年8月に当研究室のベトナムからの博士留学生2名をフエに派遣し、フエ科学大学学生の協力を得て、道路交通騒音と鉄道騒音に関するアンケート調査を実施した。道路交通騒音調査と鉄道騒音調査でそれぞれ675名と446名から回答を得て、回収率は97%と87%であった。2012年9月に日本から研究者と学生数名を派遣し、フエ科学大学学生の協力を得て、道路交通・鉄道からの騒音・振動を測定した。Ldenは道路交通騒音調査地区で61~80dB、鉄道騒音調査地区で64~76dBであった。 これらのデータを基に暴露反応関係を求めると、フエの暴露反応曲線はダナンとほぼ等しく、ホーチミン市やハノイ、EU諸国よりもうるささの程度は低かった。一方、鉄道騒音に関しては騒音暴露範囲が狭いために、明確な暴露反応関係は得られなかったが、EU諸国の曲線よりはうるささの程度は高かった。 以上より、道路交通騒音に関しては比較的低暴露範囲のデータを得ることができ、ベトナムの代表的な暴露反応関係を求めるのに近づいた。しかし、都市間の差は顕著であり、次年度に旧北ベトナムのタイグエンで道路交通騒音調査を計画している。鉄道騒音・振動調査に関しては騒音と振動の交互作用、相乗効果について現在分析している。 また、2011年度にダナンで実施した道路交通騒音調査と航空機騒音調査の成果を2012年5月にAcoustics2012 (香港)、8月に第41回国際騒音制御工学会(ニューヨーク)、9月に2012年度建築学会全国大会(名古屋)等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにハノイやホーチミン市でも同様の調査を実施してきており、調査や測定に関するノウハウを蓄積している。ダナンやフエでの調査研究にはダナン工科大学やフエ科学大学の協力を得て、調査・測定を実施しているが、これらの大学とは学術交流協定を締結し、活発に学術交流を行い、相互に信頼を培ってきている。また、騒音問題等の環境問題に関してベトナムの関心も高く、回答者もきわめて好意的である。以上の理由により、本研究は順調に伸展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では調査は2012年度で終了し、2013年度はデータセットの整理と成果のとりまとめに当てる予定であった。しかし、これまで、ハノイ、ホーチミン市、ダナン、フエで調査を行ってきたが、都市間で暴露反応関係に差が見られた。特に、ハノイの反応が高く、このことは気候や社会制度(他の3都市は旧南ベトナム)などが影響している可能性が示唆された。そのため、本年度もタイグエン(ハノイの北40km)で道路交通騒音調査を実施する。これを踏まえて、道路路交通騒音と航空機騒音に関してはベトナムの代表的な暴露反応関係を提案し、ベトナムあるいは国際的な騒音政策に貢献する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費はタイグエンへの調査旅費と成果のとりまとめに当てる。 調査旅費:30万円(矢野)、15万円(西村)、15万円(佐藤) 成果のとりまとめ経費:10万円 当初の計画を若干変更するため、不足分は大学運営交付金で補填する。
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