研究課題/領域番号 |
23560702
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐々木 文夫 東京理科大学, 工学部, 教授 (80385533)
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キーワード | ノイズの分離 / 位置の特定 / ウェーブレット / 時間―周波数 / BSS |
研究概要 |
初めに、ノイズと音声信号の位置が全く分からない状況において、ノイズに完全に埋もれた音声信号に対して、観測信号からノイズと音声信号を100%完全に分離し、かつノイズの位置と音声信号の位置を特定する数学的な手法の改善を行った。 また、前年度演算時間に注目して、計算を早くする手法の開発を行ったが、2次元問題までしかできなかったので、それを3次元にまで拡張できるような定式化を考え開発中である。また、ノイズの種類をいろいろ変えても、本定式化では、何ら問題のないことも確認した。また、次年度の最終年に向けて、さらに拡張した手法ができないかの模索も同時に行っている。具体的には、ノイズに埋もれた音声信号が反射波を含む場合であり、これができるとより現実に近いことが可能となる。3次元問題と、上記問題を組み合わせれば、一般の空間での反射問題が解け、不思議音などの従来、どこから発生しているかわからないような問題の解決にもつながる可能性を秘めている。最終年に向けて、十分な実績ができるよう、また、新たな問題を解決できるよう模索も行った年度である。 昨年度から、今年度の成果は、音響では最も権威のあるinter-noise2012(New York)の論文を提出し、発表を行った。また、音響学会、応用数理学会でも、これらの成果を発表し、国内外に成果の公表を行った。特に応用数理学会では、招待講演として、招かれ1時間という時間をもらい十分に本研究の成果を聴衆にアピールできたものと思う。 本年度の成果は、来年度の最終年に向けて、権威のある雑誌の投稿する予定でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、本手法は、膨大な演算時間がかかることが予想され、実際、時間がかかったため、2年目は演算時間の短縮が研究の課題であったが、1年目に、巧妙な手法を考え、演算時間を100倍以上早めることができた。そのため、当初最終年である3年目に行うことを考えていた、単純なモデルから、より複雑なモデルや現実に即したモデルに関しても、当該年度に着手でき、成果が上がっている。当該年度で、相当に進んだので、次年度では、本研究後のことも考えて、さらなる発展を含めた研究活動が行えそうである。 具体的な進捗度でいうと、当初の1.3倍ほどのペースで進められている。
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今後の研究の推進方策 |
1,2年目の研究で、当初計画よりも早く進めることができたので、次年度はさらに進んだ目標まで進めていきたい。具体的には、反射音を含む場合に挑戦してみる。最終年は権威ある雑誌に投稿することで、当該研究の成果をアピールしたい。また、建築学会や、音響学会で速報的に次に進むべき内容について発表できたらと思っている。さらに、国際会議にも出席し、今後の方針と、国際的なレベルや問題点などについて調査も行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究が、予定よりも早く進んだので、より多くのデータが扱え、かつ反射問題なのへの対応化可能かを模索したい。そのためには、高性能のパソコンを早めに数台購入し、解析を行うための費用を申請する。 また、2年目の成果を、権威ある雑誌に提出し、また発表を行うための費用の申請も行う。さらに、国際的な会議に出席し、世界レベルと当該研究との差別化が十分にできているかを検討するための出張費用の申請もする。 そのほか、研究成果をまとめたりするための予算や、計算のバックアップ用のハードディスクの購入予算も申請する。
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